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英語教育実施状況調査で分かった!小学生英語学習で保護者が意識すべき2つのポイント

英語教育実施状況調査で分かった!小学生英語学習で保護者が意識すべき2つのポイント
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英語コラム

学校での英語教育が今大きく変わろうとしています。

しかし、新学習指導要領の下での英語学習となってから日が浅いため、その学習の成果はまだ見えにくい状況です。このため、子供の英語学習についてどういったアプローチをしていけばよいのか気になっている保護者の方が多いようです。

特に、英語が必修化されたばかりの小学生の親御さんは、戸惑いが大きいかもしれませんね。

どんな学習でもそうだと思いますが、現在の状況をヒントに逆算してアプローチの仕方を考えることは有効です。

現状を知るための一つの指針として、今回は文部科学省で実施されている「英語教育実施状況調査」を取り上げたいと思います。

そして、この調査結果の概要から見えてくる小学校での英語教育の現状を整理し、その「穴」を埋めるために保護者が意識すべきポイントはどのようなことなのか考えてみたいと思います。

この記事は以下のような人におすすめです。

・小学校の英語教育の実状と課題を知りたい
・小学生の子供の英語学習で意識すべきポイントを知りたい

英語教育実施状況調査とは

英語
英語教育実施状況調査は、文部科学省が全国の公立小学校、中学校そして高等学校を対象として、平成25年から行なっている調査です。

この調査はその名が示す通り、学校における英語教育の実施状況をさまざまな角度から調べるものです。直近のものは、令和元年度のものとなっており、調査内容の概要その他は全て文部科学省のHPより、確認することができます。

調査内容は、大雑把に言うと、生徒の英語力、指導者の英語力、そして学習環境、学習状況(言語活動の状況)に分かれています。

また、全ての項目ではありませんが、都道府県ごとの調査結果が分かるようになっています。そのため、この二つを併せて見ることによりいわゆる「地域格差」とその原因についてもある程度の判断ができるようになっているといえます。

英語教育実施調査の結果とそこから見えてくること

直近の調査につき、小学校の英語教育に係る調査結果の概要の中から、特に気になる点をいくつか拾い上げて見ていきたいと思います。

なお、この調査は改訂後の学習指導要領の内容を反映したものとはなっていないため、小学校については5年生および6年生の英語学習についての調査結果となっています。

指導担当で最も多いのは学級担任

まず、「小学校における英語教育担当者等の現状」という項目について見てみます。

これは、小学校では誰が英語教育を担当しているのかということを調査したものですが、前回の調査時と比較して「学級担任」と答えた数は減少し(前回の「65,699人」から「59,197人」へ)、代わりに「専科教師等」の数が上昇(前回の「9,691人」から「14,361人」へ)しています。

専科教師等とは、「外国語教育の身を担当する教師のほか、学級担任となっていない教師で外国語教育を担当する教師をいう」と定義されています。

このことから、5年生、6年生の高学年においては、「英語を教えられる先生」による授業をする学校が増加していることがうかがえます。しかし、最も多いのは未だ「学級担任」との回答であることにも注目です。

ここから見えてくるのは、小学校においては担任の先生が英語の指導を担当することになるケースが最も多いということです。

指導者の英語力・指導力に不安が残る

そうなると、懸念されるのが先生の英語力です。今回の調査では、残念ながら小学校については中学校・高等学校ほど詳細な調査はなされていません。

しかし、英語力を推察できるような調査項目として「小学校教師のうち中・高等学校英語免許状を所有している割合」というものがありますので、そちらからある程度推察することが可能です。

それによれば、336,638人中、21,221人が中・高等学校の英語免許状を保有しているという結果になっています。割合にして6.3%であり、前年度の5.9%をわずかに上回ったもののその数は未だ一桁台ということが分かります。

もちろん、中高の英語免許状の有無と英語力の有無が完全に連動するかと言えばそうではありません。

しかし、少なくとも英語の指導力については懸念が残る結果であることは確かでしょう。

ALT等の活用状況にも課題点

ALT(外国語指導助手)等の活用状況についても一定の傾向が認められます。

まず、ALT等の活用人数についての調査項目では、小学校が13,326人となっており、中学校の8,203人、高等学校の2,783人と比較すると、小学校が最も多く、中学校高等学校と進むにつれて減少していくことが分かります。

そして小学校においては、前回の調査時が13,044人でしたから、さらに増加しています。これだけを見ると、小学校においてはALTの活用が十分進んでいるようにも思えます。

しかし、これはあくまでもALTを使った英語学習を行なっている学校の数であり、全ての小学校でALTを使った授業が行われているのではないことに注意が必要です。

また、ALTをどのように活用しているかについても興味深い結果が伺えます。調査結果によると、最も多いのが「教師とのやり取りを児童生徒に示す/やり取り・発表のモデル提示」と「発音のモデル・発音指導」となっており、授業外での児童生徒との交流と答えた割合は低いものとなっています。

このことから、ALTがいても双方向のコミュニケーションには十分活用されていない現状が見えてきます。

調査結果を踏まえて今後保護者ができること

保護者ができること
このように、まだ小学校においては質の高い英語指導を行なうための準備が十分に整っていない傾向が見て取れます。こうした現状において、保護者は何を意識すればよいのでしょうか。

2つほど挙げてみたいと思います。

小学校から中学校へスムーズに移行できるようにする

上では取り上げませんでしたが、今回の調査では「小学校・中学校・高等学校の連携に関する状況」という項目の中で、これらの学校が英語教育に関してどの程度連携しているかを調べています。

これによると、小学校と中学校が連携している割合は82.0%となっています。

一見すると十分な数字とも思えますが、中学校の1,685校が小学校と連携しなかったということですから、これは改善しなくてはならない課題と言えるでしょう。

また、連携したという学校であっても、その内容について見てみると「授業参観、年間指導計画の交換等」の情報交換との回答が73.8%と最も多く、「小中連携したカリキュラムの作成」との回答は17.7%に留まっているのも気になる点です。

このような現状から、家庭での英語学習を考える際には、小学校での学習をスムーズに中学校での学習に繋げることができるようなものであるかが選択の際の一つのポイントといえるでしょう。

2021年より、中学校でも新たな学習指導要領に基づく英語学習がスタートします。ここの大きなポイントは、「学習内容のスライド」が起きると言うことです。

これまでは中学校で学ぶべき内容であったものが、小学校に前倒しになるものがあります。同時に、高等学校で学ぶべき範囲の一部が中学校の学習範囲として前倒しになります。

小学校から中学校への学習の橋渡しがうまくいく手段を講じることで、中学以降の英語学習で躓かずに済みます。中学校で学ぶ英語は英語力の核となる大事な部分です。

学習指導要領が改訂されたことによって学習範囲はさらに広くなりましたから、ますます中学英語の重要性は増してきます。

小学生向けのコース、中学生向けのコースそしてそれ以降の学習もできるようなコースが用意されたスクール、オンライン英会話、教材等を選べば、同じ学習媒体を利用しながら無理なくステップアップしていくことができるのでおすすめです。

アウトプットの度合いを高くし、できれば会話の機会を増やす

調査の結果では、ALTは発音や会話のモデル提示といった限定された場面で活用される傾向にあるということが分かりました。つまり、英語の話者がいたとしても、その人と英語での会話を練習する機会は少ないということです。

また、会話ということに関しては、今回の調査結果には直接反映されていませんが、コロナ禍の影響も決して小さなものではありません。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、学校生活において大きな声を出すことを禁じること、あるいは声を出す活動時にはマスクを着用したまま行なうこと等の制約が設けられる状況が続いています。

この影響を受けるものとしては音楽の授業だけでなく英語の授業も例外ではありません。本来、語学学習はマスク着用でも声を出せればいいと思うかもしれませんが、語学学習の初期においては、これはおすすめできることではありません。

英語と日本語では声の出し方も異なりますから、習い始めの頃は指導者が子供達の口の動きなどを見て指導することが理想的ですし、学ぶ方でも存分に大きな声を出して練習することが望ましいのです。

こうしたことから、安心して声が出せる状況でのアウトプット練習の場として家庭の果たす役割はなおさら大きいと言えるでしょう。

アウトプットの練習をどうするかという問題ですが、習ったことを書くこと、音読すること、口に出してみることこれら全てがアウトプットですから、難しく考える必要はありません。

しかし、せっかく自宅という心おきなく声を出せる環境にいるのですから、オンライン英会話や英会話のアプリ等を利用して、会話をしてみることで、学校では足りないアウトプット量の底上げを図りながら、学校で習ったことを自分のものにしていくというのがおすすめです。

さいごに

この記事では、英語教育実施状況調査の結果から見えてくることについて解説すると同時に、保護者が意識すべき点についてお話ししました。

今後より一層使える英語を身につけることによりフォーカスした学校での英語教育には大いに期待が持てます。

しかし、調査結果からも見えてきた通り、完全にこの目標を達成できるようになるまでにはまだまだ時間がかかりそうです。そうしたいわば過渡期といえる状況では、保護者のみなさまも戸惑うことも多いことでしょう。

幸いなことに現在はこうした足りない点を補うことができる学習の機会はたくさん用意されており、コロナ禍での制限が大きい中でも安心して英語を学べるものも多く揃っています。

これをうまく利用することで、この過渡期とも呼べる状況をうまく乗り切ってほしいと思います。

さびねこ

【自己紹介】
英検1級取得後、英語講師を経て、フリーランスで翻訳・ライティング業務を行う。

【英語力・指導経験】
都内の大学(法学部法律学科)大学在学中に英検1級に独学で合格。その後、英会話スクールにて、幼児クラスから、小学生向けクラス、そして、高校生・社会人クラスと一通り担当。独学で英語をマスターし他経験、指導経験から、学習者としての視点と指導者としての視点双方から発信しています。

【資格およびスキル等】
・英検1級・法律英語
・スペイン語、イタリア語、インドネシア語会話(まだ初級~中級レベル)

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