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英語教育の地域格差 その原因と影響を受けないためにすべき3つのこと

英語教育の地域格差 その原因と影響を受けないためにすべき3つのこと
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英語コラム

子供の英語教育に関して、地域によって格差があるという話を耳にしたことがあるかもしれません。

これは本当なのでしょうか。地域格差があるとしたらいったい何が格差を生んでいるのか、気になりますよね。

学習指導要領が新しくなり、2020年に小学校での英語教育が新しくなったのを皮切りに、中学校、そして高等学校と英語教育は大きく進化していくことが期待されています。

これによって、果たして英語教育の英語格差はなくなっていくのでしょうか。地域格差の影響を受けないために、家庭でできることはあるのでしょうか。

この記事では、そうした「英語教育の地域格差」について、お話ししていこうと思います。

以下のような方におすすめです。

・小中高の英語学習で地域格差は存在するのか気になる
・何によって地域格差を判断しているのか知りたい
・学習指導要領の改訂で地域格差はなくなっていくのか知りたい
・地域格差の影響を受けないために保護者が意識すべきことを知りたい

英語教育の地域格差とは

学校の地域格差
「英語教育の地域格差」というのは、どういった状況のことを指すのでしょうか。また、実際にそのような格差は存在するのでしょうか。これを知るためには、文部科学省が実施する「英語教育実施状況調査」が良い手掛かりとなります。

この調査は、全国の公立小中高等学校および都道府県と指定都市教育委員会を対象に平成25年度から行なわれているものであり、直近のものとしては令和元年度実施のものがあります。

この調査では、中学校と高等学校については、生徒の英語力、英語を用いた言語活動の割合、パフォーマンステストの実施状況等の他、英語担当教師の英語使用状況や英語教師の英語力、に関しても都道府県ごとの状況を見ることができます。

また、地域間の比較ではありませんが、ALT(外国語指導助手)等の活用人数、小学校については、誰が英語の指導を担当しているのかといった項目についても調査がなされています。

これら各項目の詳しい調査結果に関しては、文部科学省のHPより見ることができます。

参照:令和元年度「英語教育実施状況調査」概要(文科省)

この調査結果からは、地域間の比較がなされた調査項目全てに関して、都道府県間、自治体間で大きな差が生じていることが見て取れます。

この英語教育実施状況調査では、単に生徒の英語力の差だけに着目したものではなく、教師の英語力やALTによる授業がどの程度なされているのか、学習環境の整備はどのようになっているのか等、「指導する側」についても調査がなされています。

その調査結果を見る限りにおいては、指導者の英語力や指導の環境等、教える側についても大きな地域格差があること、そしてその格差が生徒の英語力についての地域格差につながっていることが推察される内容となっています。

確かに、教師の指導力の高低と生徒の英語力のそれが100%連動しているとはいえませんが、因果関係が認められることは確かでしょう。

つまり、子供の英語力についての地域格差があることは事実であり、その原因は指導者の能力や環境であることが分かります。

新学習指導要領の下で地域格差は解消されるのか

学習指導要領が改訂され、小学校では2020年より、中学校では2021年より新しい学習内容となりました。小学高学年では英語が「外国語」という教科となることで、教科書による学習が始まります。

特定の教科書の内容に基づいて授業が進められるのだから格差はなくなっていくのではと考える方もいるかもしれません。

しかし、これに伴って格差が無くなっていくことが望まれますが、残念ながら、すぐにそうなることは考えにくいでしょう。

英語教育の格差は指導力の格差であり、学習環境の格差であることが分かりました。

この中でも、指導する側の英語力の低さは、言い換えれば英語力と英語の指導力を持った人材の不足は、英語教育の地域格差の解消を妨げる要因の一つであり、これを解消することが子供達の英語力の格差をなくしていくために欠かせません。

最も地域格差の解消が遅れる懸念があるのは小学校においてです。上で挙げた、指導者の人材不足の問題が一番深刻な状況にあるためです。

小学校では中学年から「外国語活動」と言う形で英語教育が必修化されました。外国語活動では、担任がALTと協力しながら授業を進めていくことが想定されています。

しかし、実際の状況は、前述の調査結果でも示されている通り、担任の英語力についても、ALTの導入状況も地域で格差が大きく、また満足いく状況にない学校・自治体が大多数であるのです。

ALTによる指導がなされているからといって英語教育の質が高いものとなり、児童・生徒の英語力が伸ばせるかと言えば答えはノーです。

ALTによる授業があるから心配ないということではないのです。

ALT自身の能力もありますし、英語の指導力もあります。ネイティブによる指導は英語の音やニュアンスを学ぶ上では大切ですが、問題点がないわけではありません。

日本人が英語を学ぶ上で陥り易いミス、間違いやすいポイント、勘違いしやすいことなどを把握できていないことが少なくありません。

こうした場合、英語を使った授業をしており英語に触れる時間はたくさん取っているはずが、そのわりに学習効果は高くないといったことが起こってきます。

また、担任をはじめとした教師の英語力が極端に低い場合、ALTとのコミュニケーションが図りにくく、授業をALTに任せきりになってしまったり、ALTのアドバイスを活かした授業プランが作成しにくいといった問題も生じます。

こうした問題にうまく対処して教えるには、英語が高く日本人の英語学習上の癖を知り尽くした、英語の指導経験が豊富な日本人の指導者の方が好ましい場合もあります。

そのようなことを踏まえると、ALTは万能ではなく、理想を言うなら、英語力と指導力の豊富な日本人教師とALTが手を携えて授業を進行していくことが重要です。

地域格差の影響を受けないためにできること

自宅でできること
このように、学校での英語教育については、まだ格差の完全な是正には至らない状態です。

そこで、家庭での英語教育が大切になってきます。学校では指導者の指導力に不満があっても頻繁に交代するというわけにはいきませんし、学習ツールの整備も予算の問題がありため、すぐに完備するわけにはいかないのが実情です。

また、授業内容にしても、学習効果を観察しながら柔軟に対応するということは難しくなります。

しかし、家庭であればそれが比較的容易に実現できてしまいます。子供の興味に応じて教材を変えてみる、先生も相性のいい先生を探す、これらは、家庭だからこそできるのです。

また、通っている学校での英語指導の質が高く、満足いく授業内容となっていたとしても、それで満足してしまうのはもったいないことです。家庭での学習によってさらに相乗効果を期待できるからです。

このように、どのような場合でも家庭での英語学習を考慮することで地域格差の影響を受けずに、子供が英語に親しんで英語力を伸ばすということが可能になります。

英語に触れる時間をできるだけ確保する

ALTがいない授業の場合、音声教材を活用した授業も想定されているようですが、正しい英語の音に触れる機会は少なくなります。また、ALTと共にどんどん英語を使っていくようなスタイルの授業形式を採用したとしても、圧倒的に量が足りません。

学習指導要領の改訂により、学習時間が増加しましたが、それでも外国語を身につけていくために必要な時間としてはあまりに少ないと言わざるを得ません。

そこで家庭では、日常的にできるだけたくさんの時間英語に触れられるような環境を用意してあげることが理想です。英語に触れる時間を増やすという観点からいうと、スクールに通うよりも、自宅で学習できる手段を採り入れることが断然おすすめです。

英語に触れることは必ずしも、勉強という色彩が強いものである必要はありません。洋画を見ることでもいいですし、英語のゲームで遊ぶことでもかまいません。英語に触れている時間を増やすことが大切なのです。

大人が英語に対する意識を高める

大人が英語学習に関して関心が薄いことも要因です。そして、大人が英語学習について関心が低いのは大人自身英語の楽しさや重要性を、経験を通して知っていないことが多くあります。

逆に、親や家族をはじめとした周りの大人が英語や外国文化に関心があり、それが日常的にある環境であれば、英語に関心を持つことも英語を習得していくことも簡単になります。

子供と共に英語のレッスンを受けてみたり、外国の文化に接するなど、保護者自身が英語や外国語に対する意識・興味を高めることが大切です。

最新の学習形態を最大限に活用する

確かに地域によって格差が生じていることは事実です。

しかし、幸いにも学びの機会や生の英語に触れる機会は地域によって差が小さくなっています。

一昔前は、都市部ではない限り、生の英語に触れながら英語を学んでいくことは簡単ではありませんでした。地域によっては、学ぶどころか外国人に会う機会もほとんどないといった状態です。

このような状況下では、ネイティブと会話練習すること、ネイティブに指導を受けることなどは非常にたいへんなことでした。

しかし、インターネットの普及と、優れた学習ツールの登場により、こうした制約はなくなりました。

無料で利用できる質の高いコンテンツも多数存在し、廉価でやろうと思えば無料でもたくさんの英語に触れ、質の高い学習を実現することができます。この恩恵を受けない手はありません。

実際のところ、こうしたオンライン英会話のサービスやアプリ、教材と言ったものは、英語教育のプロによって作成・運営されているのですから、現状では学校での英語教育以上の学習効果が期待できます。

さいごに

この記事では英語教育の地域格差についてお話ししました。学習指導要領が改訂され、英語教育も大きく変わっていこうとしています。

しかし、全ての学校において一律に質の高い英語教育が行なわれるようになるまでには数多くの課題を乗り越えなくてはなりません。

ただ、地域格差が大きいと言っても、インターネットを通じて自宅に居ながらにして生の英語に触れられるようになるなど、学ぶための環境に関しては地域での格差は小さいものとなっています。

これらを積極的に活用して地域格差の影響を受けない英語力を身につけさせてあげましょう。

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さびねこ

【自己紹介】
英検1級取得後、英語講師を経て、フリーランスで翻訳・ライティング業務を行う。

【英語力・指導経験】
都内の大学(法学部法律学科)大学在学中に英検1級に独学で合格。その後、英会話スクールにて、幼児クラスから、小学生向けクラス、そして、高校生・社会人クラスと一通り担当。独学で英語をマスターし他経験、指導経験から、学習者としての視点と指導者としての視点双方から発信しています。

【資格およびスキル等】
・英検1級・法律英語
・スペイン語、イタリア語、インドネシア語会話(まだ初級~中級レベル)

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