お金がないけど留学させたい!実現のために親が知っておくべきポイント

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「子供に留学させたいけど、お金が心配……」
そんな風に思う保護者様も多いのではないでしょうか?
実際、海外留学支援制度の1つ「トビタテ!留学JAPAN」が2024年2月に行った「海外留学に関する意識調査」でも、留学を諦める理由の第1位は「経済的な余裕がないから」とあり、お金の心配が大きいことがわかります。
円安の影響も強くあり、経済的に不安を感じるのは当然のことでしょう。
しかし、同調査で、大学生の9割以上が「留学が就活に役立った」と回答しており、企業の採用者側も今後留学経験者の採用に前向きであるという結果が出ています。
子供の将来を考えるうえでは、費用面での課題で留学の機会を諦めるのは惜しい選択かもしれません。
そこで、本記事では、少ない予算でもうまく工夫することで留学を実現する方法を紹介します。
この記事を読めば、留学費用を抑えるためのポイントがわかり、お子様に最適な留学プランについてよりじっくり考えられるようになるでしょう。
留学にかかる費用
留学費用を抑える工夫について解説する前に、まずは語学留学を例に、各国への留学にかかる費用を紹介します。
下記は、コース費用とアコモデーション費用、航空券代を人気の留学先別に目安としてまとめたものです。
4週間 | 12週間 | |
アメリカ | 60〜90万円 | 160〜190万円 |
イギリス | 60〜80万円 | 150〜180万円 |
カナダ | 50〜60万円 | 100〜150万円 |
オーストラリア | 50〜65万円 | 90〜150万円 |
※2025年4月時点のレートを適用
留学に人気の国のなかでも、カナダやオーストラリアは比較的費用を抑えやすいとはいえ、4週間の語学留学であれば、最低でも50〜60万円程度の用意が必要です。
ただし、前述の通り、少しの工夫で留学費用をこれより抑えることは十分可能です。
留学したいけどお金がないと思ったときの選択肢
留学費用をできる限り抑えたいときは、留学の仕方を工夫する必要があります。
下記の2つのポイントを意識して留学プランを立てましょう。
- 学費や物価が安い国を選ぶ
- 費用を抑えられる留学プログラムを選ぶ
以下でそれぞれ詳しく解説します。
学費や物価が安い国を選ぶ
留学費用を抑えるうえで最も大事なポイントは、留学先の国選びです。
アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアといった国に限定せず、下記のような国への留学を検討できるならば、留学費用を抑えやすくなります。
- フィリピン
- ニュージーランド
- シンガポール
- マルタ
- アイルランド
- フィジー
- ドバイ
これらの国は比較的学費を抑えやすく、特にフィリピンやフィジー、ドバイは現地の物価も安いので全体的に費用を抑えやすくなります。
なかでも、フィリピンは英語教育の質も高く、マンツーマンレッスンを安く受けられることから費用対効果の面でも注目されています。
また、同じ国での留学でも、住む場所や通う学校によっても費用が異なるため、気になる国が絞れてきたら、都市部や郊外の費用感も比較して留学先を決めていくとよいでしょう。
費用を抑えられる留学プログラムを選ぶ
コースの選択や留学期間の選択、アコモデーションの選択によって費用を抑える方法もあります。
語学学校であれば、週20時間のレッスンが受けられる標準コースだけでなく、費用を抑えられる週15時間のコースの用意があったり、午前クラスより午後クラスを少し安く案内していたりするところもあります。
また、コースの種類の選択だけでなく、留学期間やコース期間を短くするのも費用を抑えるのには有効です。
滞在先についても、ホームステイにするか学生寮にするかで大きく費用が異なる場合があり、提供される食事の回数を変えることで、費用の調整ができる場合もあります。
学校が提供するコースやアコモデーションの情報を細かく確認し、予算と照らし合わせながら、希望に合う最適なプログラムを見つけましょう。
学校や留学エージェントが割引キャンペーンやお得なパッケージの案内をしていることもあるので、積極的に情報収集ができると、より費用を抑えやすくなります。
お金がないときでも留学費用をまかなう方法
留学先の国やプログラムの選択以外にも、留学の選択の幅を広げる方法があります。
ここからは留学プランにかかる費用自体を抑えるというよりも、資金を補う手段について詳しく解説します。
奨学金に応募する
留学のために奨学金制度を利用するのも方法の1つです。
奨学金には下記の2種類があります。
- 給付型奨学金:返済不要の奨学金
- 貸与型奨学金:返済の義務がある奨学金(無利子タイプと有利子タイプがある)
給付型奨学金を得るためには審査があり、所得や留学の目的、学業成績や英語力が審査の対象となります。
給付型奨学金は、主に以下の3つの機関や団体によって提供されています。
- トビタテ!留学JAPAN
- 日本学生支援機構(JASSO)
- 民間の財団
それぞれの制度について解説します。
トビタテ!留学JAPAN
「トビタテ!留学JAPAN」は文部科学省が民間企業や団体と協働で行う海外留学支援制度です。
高校生や大学生を対象とする奨学金制度で、応募の際は募集コースに沿った留学計画書を作成し、在籍の高校または大学を通して申請する必要があります。
座学での留学に限らず、インターンやボランティアも対象となっており、事前・事後研修も充実しています。
日本学生支援機構(JASSO)
海外の大学への進学を目指す場合が対象となりますが、「日本学生支援機構(JASSO)」の給付型奨学金では、海外の大学で学士号の取得を目指す人を対象にした「海外留学支援制度(学部学位取得型)」があります。
語学力や学業成績、所得要件等の審査があり、審査をクリアすれば原則4年の支援を受けることが可能です。
応募時期は留学する年の前年の9月〜10月となり、応募を希望する場合は早めに準備を進める必要があります。
民間の財団
大学進学を対象とするものが多くなりますが、民間の財団が出す奨学金もあります。
下記は民間の財団の例です。
財団名 | 特徴 |
柳井正財団 | アメリカやイギリスのトップ大学への進学を目指す人を対象とした奨学金制度を用意している大学への出願前に応募する「予約型」の奨学金と、出願後に応募する「合格型」の奨学金がある |
イノアック国際教育振興財団 | 所属の大学を通して申込みする必要がある10ヶ月以上の長期留学が対象とされている |
孫正義育英財団 | 小学生も利用できる(8歳の応募者への給付実績あり)毎年25〜30名ほどを支援対象として認定している |
ここに挙げているのはほんの一例で、民間の財団や団体の情報はたくさんあります。
チャンスを広げるためにも、積極的に情報収集しておくことが重要です。
留学ローンや教育ローンを利用する
留学費用を工面するには、留学ローンや教育ローンを利用するのも方法の1つです。
教育ローンは、留学者本人が利用者となる奨学金とは異なり、保護者が利用者となって一括で資金を受け取るのが一般的です。
教育ローンには公的機関が提供する「公的ローン」と、銀行やカードローン会社が提供する「民間ローン」があります。
民間ローンは公的ローンに比べて審査が通りやすい一方で、金利が高めな傾向があるため、検討の際は融資額や条件を慎重に確認する必要があります。
教育ローンの利用を検討する場合は、日本政策金融公庫の「国の教育ローン」といった公的ローンから調べてみるとよいでしょう。
奨学金や留学ローン利用の注意点
奨学金や留学ローンを利用するには、早めの準備と計画的な対応が欠かせません。
まず、奨学金の利用を検討する場合は、応募要件やスケジュールを細かく確認し、必要な準備を段階的に進めていくことが重要です。
奨学金への応募では、高い語学力や優秀な学業成績が求められるため、お子様と留学プランについて早いうちから話し合い、お子様が日々の学習に意欲的に取り組めるようサポートしてあげましょう。
成績も語学力も短期で結果を出せるものではないので、たとえば、語学力であれば、早くからオンライン英会話を始めて英語学習に取り組める機会を多く用意してあげるのも有効です。
一方、教育ローンを利用するのであれば、あらかじめ必要額をきちんと把握しておき、返済計画をしっかり立てたうえで申し込みを進めるようにしましょう。
奨学金やローンの利用ももちろん有効ですが、先に紹介した通り、留学費用を抑えやすい国への留学を検討し、全体的な負担を減らす方法を探ることも重要です。
お子様と留学の先にある目標についても話し合い、費用面とのバランスも取りながら、最適な選択肢を見つけていきましょう。
まとめ
留学には多くの費用がかかるため、「お金がないから無理」と感じることもあるかもしれませんが、奨学金や教育ローンといった制度をうまく活用すれば留学を実現させることは可能です。
また、費用面での負担を軽減するため、留学先の候補を広く見てみることも、留学の実現のためには有効なアプローチです。
留学先を欧米圏に限定せず、柔軟に考えてみることで費用対効果が高い学習経験を得られる場合も多くあります。
留学のチャンスを広げるためには、語学力や成績もカギとなるため、お子様自身が目標を持って取り組めるよう、できるだけ早いうちから一緒に準備を進めていきましょう。