観光客必見!香港の英語でのコミュニケーション事情|香港人が話す英語の特徴は?

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日本から訪れる旅行者にとって、香港は魅力的な観光先として知られています。
では、香港で英語が広く通じる背景をご存知でしょうか?
その理由は、長きにわたる英国の統治期間にあります。
この期間中に、英語は行政や教育といった公的な場において主要な言語として用いられるようになったのです。
香港の英語には独自のアクセントがありますが、多くの旅行者はその特徴を楽しみながら現地の人々とコミュニケーションをとっています。
この記事では、香港で使用される英語のユニークな側面に焦点を当て、どのようにして理解を深めることができるかを解説します。
旅行の際にぜひ役立ててください。
香港で英語は通じる?
香港は1997年まで150年以上にわたってイギリスの支配下にあり、今でもビジネスだけでなく日常生活でも英語は必須です。
一部の人々は、現在でもイギリスの海外市民パスポートを所有しています。
このため香港では英語教育に力点が置かれ、多くの市民が英語を自由に使えます。
ホテルやタクシー、ショッピングモール、レストランなどでは英語によるサービスが一般的です。
また、街中の標識や案内板は英語と広東語の両方で書かれていることが多いため、英語が理解できればなんら困ることはありません。
香港人が話す英語の特徴
香港人が話す英語の特徴について説明します。
- 香港独特の語彙
- 声の高低差が大きい
- 単語の語尾の子音がほぼ聞こえない
- その他の発音の特徴
香港独特の語彙
香港の英語には語彙や表現に特徴がありますが、基本はイギリス英語です。
たとえば「エレベーター」は「lift」、「センター」は「centre」と表記されるのが一般的です。
英語圏ではあまり見られない香港独自の表現として、「chop」という語があります。
ビザの申請手続きで「componey chop」が必要と書かれていますが、辞書には見当たらず戸惑うでしょう。
これは「印鑑」のことを指し、通常の英語だと「seal」という単語が用いられます。
また「Add oil」という表現は中国語の「加油」から来ており、「頑張れ」という意味です。
英語には「頑張れ」に直接対応する表現がなく、似たようなニュアンスのものとしては「try your best」や「work hard」があります。
語彙については理解さえしていれば問題ありません。
声の高低差が大きい
広東語は香港で話される主要な言語であり、声調によって単語の意味が変わる特徴を持っています。
広東語の音調は、中国の標準語である北京語と比べてもより多様で複雑です。
そのため、香港人が話す英語は広東語の影響で声の高低差が大きく、アメリカ英語やイギリス英語より聞き取るのが難しく感じられるかもしれません。
日本語は声の高低差があまり無いため、香港英語を学ぶ際の一つのハードルとなるようです。
単語の語尾の子音がほぼ聞こえない
香港人が話す英語は、単語の語尾の子音がほぼ聞こえません。
「cut」という単語を例に挙げると、日本人は「カット」と発音しがちですが、香港人の英語は「カッ」と聞こえる場合があります。
このため「cut」と「cup」の区別が難しくなるのです。
動詞と名詞という異なる品詞なので、文脈の中で判断するしかありません。
子音が聞こえない理由は、広東語の影響があると考えられます。
広東語では、「日」という言葉を「yat6」と発音し、日本語の「やったー」という言葉の「やっ」で一時停止します。
このため、日本語話者には「t」の音は聞き取りにくいのです。
日本人は英単語が子音で終わる場合、不必要な母音を加えて「カット」や「カップ」と発音しがちなため、かえって香港英語の聞き取りが難しいのかもしれません。
その他の発音の特徴
詳しく挙げれば切りがありませんが、広東語では「n」が「l」に置き換わることがよくあります。
たとえば「你好」の発音が、「nei5 hou2」から「lei5 hou2」に変わることが一般的です。
この現象は「n」と「l」があまり区別されないことに起因しています。
同じ理由で英語の「pr」の音が「po」に変換され、「program」は「ポーグラム」と聞こえるのです。
香港英語を聞き取れるようになる方法
香港の英語に限らず、どの国でも独特のアクセントがあります。
克服するコツとして3つ紹介します。
- ある程度英語の正しい発音方法を知っておく
- なまりのパターンをある程度知っておく
- 実際にYouTubeでなまりを聞いてみる
ある程度英語の正しい発音方法を知っておく
自分が発音できなくても、知識として正しい発音を知っておくことは大事です。
世界中の人々は通常、アメリカ英語やイギリス英語をモデルにして英語を学んでいます。
「cut」という単語を例に挙げると、日本語の発音では「カット」となりますが、標準的な英語では「カッt」となり、微妙に息が漏れるような発音になります。
香港英語でも「カッt」で舌だけを使って「t」の形を作ることが一般的です。
このため、香港英語は日本人が話す英語よりも英語本来の発音に近いです。
なまりのパターンをある程度知っておく
なまりのアクセントや発音の特徴を少しでも理解しておくと、聞き取れない単語に出会ったときに、意味を推測する手助けになります。
例えば「カッ」と聞こえた場合、そこから「切る」という意味の「cut」や、飲み物を入れる「cup」などを連想することができ、会話の流れをスムーズに進められます。
実際にYouTubeでなまりを聞いてみる
理論を学ぶだけでなく、YouTubeを活用して実際のアクセントを聴いてみると更に効果的です。
ある程度英語を聞き取れる人であれば、1〜2時間程度のリスニングでもアクセントへの慣れが生まれ、様々な発音パターンをより自然に聞き取れるようになるでしょう。
香港の英語レベル
香港の英語レベルは一体どの程度なのでしょうか?
英国統治時代の香港は多文化的な背景と歴史的な経緯から、小学生の段階で既に英語を第二言語として学び始めました。
中高生になると英語を使いこなすことに重きを置いた教育を受けることで、高い英語力が養われます。
1997年の中国への返還後は、北京語の学習に重点を置くようになり、公用語としての英語の使用が減少しました。
香港に住んでみると、一般に想像される「英語が通じやすい」といったイメージとは異なります。
多くの香港市民にとって日常生活の主要な言語は広東語であり、特に地元住民同士の会話や郊外に出ると、その使用頻度は極めて高いです。
このため英語力の低下が懸念され、2002年からは小学校にネイティブスピーカーの英語教師(NET)を導入するなど、英語教育の強化策が講じられています。
現代でも香港ではなぜ英語を話せる人が多いのか?
香港はかつてイギリスの植民地だったため、英語が広く通じます。
ここでは「現代でも香港ではなぜ英語を話せる人が多いのか?」を考えてみましょう。
その理由として3つを説明します。
- 幼稚園から始まる英語教育
- 中学校英語教育での英語討論
- 高校におけるオールイングリッシュの授業・スピーキング試験
幼稚園から始まる英語教育
香港では、幼稚園の時期から英語教育が盛んです。
多くの香港人が英語を流暢に話す背景の一つです。
日本でも2020 年から小学3年生から英語の授業が必修化されましたが、文法学習は公立の中学校で始まることが多いです。
一方香港では、小学校5年生の時点で既にカリキュラムに組み込まれています。
こうした早期教育の浸透が、英語を話せる人が多い所以です。
中学校英語教育での英語討論
香港では小学校の高学年の段階で、すでに英語の文法・基礎を学び始めるのが一般的です。
香港の中学校では英語文法の授業はもちろんのこと、英語を用いて自分の考えを述べる討論もカリキュラムに組み込まれています。
これまでに習得した英語力を活用し、自分の意見をしっかりと伝える訓練の時間が用意されているのです。
このように話す力を養う機会が豊富に用意されている香港の英語教育は、スムーズに英語を使いこなす力を身につけるために大変貴重です。
高校におけるオールイングリッシュの授業・スピーキング試験
高校生は、授業のすべてが英語でおこなわれる、オールイングリッシュの環境に身を置きます。
新しく学ぶ英語の文法も英語で説明され、理解力が必要です。
討論の授業では中学より一歩進んだ論理的思考を養い、説得力のあるプレゼンテーションスキルを習得します。
また、学期の中間や期末にはスピーキング試験が行われ、発音の正確さ・文章の論理性・文法の正確性など多角的な視点で評価されます。
常に切磋琢磨しなければなりません。
このように香港での英語教育は、早い段階から質の高い指導が行われ、高校卒業時には確かな英語力が習得できるようになっています。
まとめ
本記事では香港人が話す英語の特徴や、現代でも香港ではなぜ英語を話せる人が多いのかについて説明しました。
香港は長い間、イギリスの植民地であったことから、英語は公用語の一つとして使用されています。
そのため、香港英語の特徴はイギリス英語の影響を強く受けています。