IELTSスコアって何?親子で知っておきたいグローバル時代の英語力指標

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グローバル化が進む現代、英語力は「話せる・聞ける」だけでなく、客観的に測れるスコアで評価されることが増えています。
その中でも注目されているのが「IELTS(アイエルツ)」。
海外留学や大学入学、将来のキャリアにも直結する英語力の指標として、世界中で広く使われています。
今回は、IELTSスコアとは何か、どんな力が測れるのか、そして親子で知っておきたいポイントをわかりやすく解説します。
IELTSとは?

海外留学や国際的なキャリアを目指すうえで、多くの人が最初にぶつかる壁、それが英語力の証明です。
その中でも世界的に信頼されている試験が「IELTS(アイエルツ)」です。
英語を母語としない人のリアルなコミュニケーション力を測る試験として、イギリスやオーストラリア、カナダをはじめとする英語圏の大学や移住申請で高く評価されています。
IELTSでは、Listening・Reading・Writing・Speakingの4技能がバランスよく評価されるため、机の上の勉強だけではなく、「実際に使える英語力」が求められます。
つまり、将来英語を使って学び、働き、生活するための土台となる試験なのです。
IELTSを理解することは、単なる試験対策ではなく、子供の可能性を広げる第一歩になるのです。
世界140か国以上で使われる国際的な英語試験
IELTS(アイエルツ)は、International English Language Testing System の略で、英語が母語でない人が英語力を証明するための国際的な試験です。
イギリスやオーストラリア、カナダなど、世界140か国以上の教育機関や企業、政府機関で広く認められています。
特に留学や海外移住を目指す人には欠かせない資格といえるでしょう。
アカデミック(Academic)とジェネラル(General)の違い
IELTSには2つのタイプがあります。
「Academic(アカデミック)」 は大学や大学院進学を目指す人向けで、「General Training(ジェネラル)」は就職や移住を目的とする人向けです。
出題内容も異なり、Academicでは論理的な文章やレポートを書く力が求められるのに対し、Generalでは日常生活や職場での英語運用力が重視されます。
大学進学・留学・移住など幅広い目的で活用される
IELTSのスコアは、海外大学の出願条件だけでなく、日本国内の大学入試 でも活用が進んでいます。
また、カナダやオーストラリアの永住申請でも英語力証明として使用されるなど、グローバルに通用する資格 です。
IELTSスコアの仕組みを理解しよう

IELTSのスコアは、単なる点数ではなく、英語4技能の総合力を示す指標です。
各セクション(Listening・Reading・Writing・Speaking)は0〜9のバンドスコアで評価され、平均点を取ることで総合スコアが算出されます。
スコアの仕組みを理解することで、子供がどのスキルを伸ばす必要があるのか、学習の目安がつけやすくなります。
各技能(Listening・Reading・Writing・Speaking)のスコア構成
IELTSでは、4技能それぞれが0.0〜9.0のバンドスコアで評価されます。
最終的なスコア(Overall Band Score)は4つの技能の平均で算出されるため、どれか一つだけ高得点を取れば良いというわけではありません。
この試験では、単語や文法の知識だけではなく、実際に英語を「聞く・読む・書く・話す」力が総合的に問われるのが特徴です。
そのため、各技能を偏りなく鍛えることが、スコアアップへの近道になります。
Listening(リスニング): 会話や講義などを正確に聞き取り、内容を理解できるかを評価
Reading(リーディング): 新聞記事や学術文書などを読み、情報を正確に把握する力を測定
Writing(ライティング): グラフや意見をもとに文章を論理的に構成し、英語で表現できるかを評価
Speaking(スピーキング): 面接形式で、対話を通じた発音・表現力・即応性などを判断
このように、IELTSは「使える英語力」を多面的に評価する試験であり、将来英語を使って学ぶ・働くための基礎力を測る指標といえます。
9段階評価で表されるバンドスコアとは?
IELTSのスコアは、1.0から9.0までの9段階(バンドスコア)で評価されます。
数字が大きいほど英語運用能力が高いことを意味し、0.5刻みで評価されるのが特徴です。
4技能のスコアと、それらの平均で算出される総合スコア(Overall Band Score)が提示されます。
たとえば、多くの海外大学や大学院で入学基準として求められるのが6.0〜7.0程度。
特に6.5は「中上級レベル(Competent〜Good Userの間)」とされ、英語での講義を理解し、レポートやディスカッションにも対応できる力があると評価されます。
| スコア | レベルの目安 | 特徴 |
| 9.0 | Expert User | 母語話者に近い運用力 |
| 7.0〜8.0 | Good User | 大学・ビジネスで問題なく対応できる |
| 6.0〜6.5 | Competent User | 英語での授業・生活に十分対応可能 |
| 5.0以下 | Modest〜Limited | 日常会話は可能だが、学術的内容は困難 |
総合スコア(Overall Band Score)の計算方法
IELTSの総合スコア(Overall Band Score)は、4技能それぞれのスコアの平均を取り、小数点第一位まで算出したうえで四捨五入して決定されます。
スコアは0.5刻みで表示されるため、「6.0」「6.5」「7.0」といった形で表されます。
<計算例>
Listening:7.0
Reading:6.5
Writing:6.0
Speaking:6.5
4技能の平均 =(7.0 + 6.5 + 6.0 + 6.5)÷ 4 = 6.5
この場合の総合スコア(Overall Band Score)は 6.5 となります。
このように、どれか一つの技能だけが極端に高くても平均で決まるため、全体的にバランスよくスコアを取ることが重要です。
特に留学や移住の申請では、総合スコアだけでなく「Writingも6.0以上」など、各技能に最低基準が設けられている場合もあるため注意が必要です。
どのくらいのスコアが必要?

IELTSのスコアは、目指す進路や目的によって求められる基準が大きく異なります。
海外大学への進学、移住申請、海外就職など、どの道を選ぶかによって必要なスコアは変わるため、早い段階で目標値を知っておくことが大切です。
たとえば大学進学なら6.0〜7.0が目安とされることが多く、名門校や専門性の高い学部ではさらに高いスコアが求められる場合もあります。
具体的な基準を知ることは、学習計画を立てるうえでの道しるべになります。
ゴールが明確になれば、どの技能をどの程度まで伸ばすべきかが見え、効率的な学習にもつながります。
ここでは、目的別に必要とされるスコアの目安をご紹介します。
海外大学進学に必要なスコアの目安(6.0〜7.5)
海外の大学へ進学する場合、IELTSのスコアはおおよそ6.0〜7.5が出願の基準とされています。
多くの大学では6.0〜6.5が最低ラインですが、授業を英語で理解し、レポートやディスカッションに参加できる力が必要なため、7.0以上を求める大学や学部も珍しくありません。
特に名門大学や医学・法律・教育など専門性の高い学部では、より高いスコアが求められる傾向があります。
たとえば、イギリスのオックスフォード大学やケンブリッジ大学では7.5以上が出願基準となることもあります。
国内大学の英語入試での活用例
近年、日本国内でもIELTSスコアを活用できる大学が増えてきています。
早稲田大学、上智大学、国際基督教大学(ICU)などの一部学部では、出願資格として一定のIELTSスコアを求めたり、英語試験の免除条件として採用しているケースがあります。
特に、国際系学部や英語で授業を行うプログラムでは、IELTS 5.5〜6.5程度を基準に設定する大学が多く見られます。
国内での受験であっても、世界基準の英語力が評価される時代になってきていると言えるでしょう。
IELTSのスコアを持っておくことで、国内大学+海外進学の両方を視野に入れた進路選択が可能になり、将来の選択肢を大きく広げることにつながります。
英検®・TOEFLとの違いを知っておこう
IELTSは、他の英語試験と比べ「実践で使える英語力」を重視している点が大きな特徴です。
特にスピーキングでは、試験官と1対1で会話を行う面接形式が採用されており、その場で質問に答える「瞬発的な英語思考力」や、自然なコミュニケーション力が試されます。
一方で、TOEFLはパソコン上で回答する形式で、スピーキングもマイクに向かって録音するスタイルです。
そのため、面接のような対話性はありませんが、アカデミックな文脈での英語運用力が求められます。
また、日本で広く知られている英検®は、国内向けの資格であり、級ごとに難易度が分かれているのが特徴です。
近年は英検®でもスピーキングが導入されていますが、国際的な認知度ではIELTSの方が高く、海外大学や移住申請で求められるケースが多くなっています。
スコアアップのためにできること

IELTSスコアは、目的によって求められるレベルが異なります。
海外の大学進学や留学、就職、移住など、それぞれの目標に応じて必要なスコアが設定されています。
子供が将来どのような道を目指すかを考え、目標スコアを把握して学習計画に反映させることが大切です。
リスニングとリーディングは「英語に触れる量」がカギ
IELTSのリスニング・リーディングは、英語にどれだけ日常的に触れているかがスコアに直結します。
ニュースやYouTube、ポッドキャストなど、身近なメディアで英語を聞く習慣をつけるだけでも、耳が英語に慣れ、リスニング力は飛躍的に向上します。
リーディングでは、文章をただ理解するだけでなく、「要点を素早くつかむ力」を鍛えることが重要です。
IELTSでは長文の内容を効率よく把握する力が求められるため、毎日の英語の読書や記事要約などの練習が効果的です。
日常的に英語に触れる量を増やすことで、試験本番でも焦らず内容を理解できるようになり、4技能全体の底上げにもつながります。
ライティング・スピーキングは「考えを英語で整理」する練習を
IELTSのライティング・スピーキングでは、自分の意見や考えを論理的に整理して、英語で伝える力が重視されます。
単に単語や文法を覚えるだけでは十分ではなく、「何を伝えたいか」を明確にし、順序立てて表現することが求められます。
自宅でできるトレーニングとしておすすめなのが、親子で英語日記をつけることです。
「今日あった出来事」や「自分の考え」を英語で書いたり話したりするだけでも、考えを整理する習慣が身につきます。
また、日常の会話の中で
Why do you think so?
(どうしてそう思うの?)
と問いかけるなど、簡単なディスカッションを取り入れるのも効果的です。
こうした習慣を続けることで、自然に英語で考え、伝える力が養われ、IELTSだけでなく将来の学習やコミュニケーション力向上にもつながります。
親子でできるサポート法(ニュース共有・英語日記など)
子供が英語学習に取り組むとき、親がサポートできることはたくさんあります。
大切なのは「結果」だけでなく、日々の努力や取り組み方をほめることです。
「今日はニュースを5分聞いたね」「昨日よりスムーズに話せたね」と声をかけるだけでも、子供のモチベーションはぐんと高まります。
具体的なサポート方法
- ニュースや動画を一緒にチェック:簡単な英語ニュースを一緒に見て、内容を短く話し合う
- 英語日記の習慣づけ:その日の出来事や考えを英語で書き、親子で読み合う
- ミニディスカッション:日常のテーマについて英語で意見交換する
こうした小さな取り組みを積み重ねることで、自然に英語で考え、伝える力が育ちます。
親子で楽しみながら学習することが、IELTS対策にも、将来の英語力アップにもつながるのです。
IELTS学習を通して育まれる力

IELTSの学習を通して身につくのは、単なる英語力だけではありません。
リスニング・リーディング・ライティング・スピーキングの4技能をバランスよく伸ばすことで、英語で考え、表現する力が育まれます。
さらに、試験対策を通じて論理的思考力や情報整理力も養われ、学習習慣や自己管理能力といった、将来につながる幅広い力も身につけることができます。
「英語力」だけでなく「論理的思考力」も身につく
IELTSのライティングやスピーキングでは、単に英語を使えるだけでなく、「自分の意見を根拠をもって論理的に伝える力」が求められます。
意見を整理し、理由や具体例を添えて話す・書く練習を続けることで、自然と論理的思考力や表現力が身につきます。
この力は英語学習にとどまらず、学校でのレポート作成やディスカッション、将来の仕事やプレゼンテーションにも活かすことができます。
IELTSを通して鍛えられるのは、まさに「考える力」と「伝える力」の両方です。
世界を意識した学びのモチベーション
IELTSのスコアアップを目指す過程では、自然と海外の文化や社会問題に触れる機会が増えます。
ニュースや記事、動画を通じて世界の情報に触れることで、「なぜ英語を学ぶのか」という目的意識がより明確になります。
このように学ぶ目的が具体的になると、単なる試験対策としての勉強ではなく、世界とつながるための学びとしてモチベーションが持続しやすくなります。
また、異文化理解や国際感覚も育まれるため、将来の進学やキャリアにも大きく役立つ学習体験となります。
将来の進路選択に自信を持てるようになる
IELTSの学習は、単なる試験対策にとどまらず、「世界で通用する力を身につける」第一歩になります。
リスニング・リーディング・ライティング・スピーキングをバランスよく鍛えることで、子供は自分の意見を整理して伝える力や論理的思考力を自然に身につけることができます。
こうした経験を通して、子供は自分の将来を主体的に考える力を養うことができ、進路選択にも自信を持てるようになります。
英語学習を通じて得られるのは、単なる語学力だけでなく、将来の選択肢を広げるための力そのものなのです。
まとめ

IELTSスコアは、単なる「英語力の数字」ではありません。
その背景には、世界で生きる力を育てる学びの過程があります。
保護者様がサポートすることで、子供は安心して挑戦でき、自信を持って未来へ羽ばたく準備が整います。
「テスト」ではなく「成長の証」として、親子でポジティブに向き合っていきましょう!







