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英語の多読が「効果なし」というのは本当?その真相を徹底解剖!

英語の多読が「効果なし」というのは本当?その真相を徹底解剖!
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英語コラム

「英語の多読が効果なしって本当?」
「英語の多読のやり方やルールが知りたい」
「英語の多読におすすめの教材は?」

英語の多読に興味がある方で、このような疑問や悩みを抱えている方はいませんか?

さまざまな研究や日本を代表する文豪夏目漱石が、英語多読は非常に効果的な学習法であることを証明しています。

しかし、英語多読の効果を最大限に引き出すためには、ある条件を満たす必要があるため注意が必要です。

本記事では英語多読がもたらす学習効果と、学習効果を最大限に引き出すための条件やルール、そして英語多読におすすめの教材について詳しく説明します。

英語の多読は「効果なし」というのは嘘!

結論から申し上げると、英語の多読は「効果なし」というのは嘘です。

岡崎氏らの研究「英語多読授業の効果に関する実証的研究」によると、富山大学人間発達科学部人間環境システム学科の人間情報コミュニケーションコースにおいて「多読授業」の成果を検証してみたところ、語彙力と読解力が伸びたと結論づけています。

また、日本を代表する文豪の夏目漱石も『現代読書法』にて、英語の多読を強く推しています。

「英語を修むる青年はある程度まで修めたら辞書を引かないで無茶苦茶に英書を沢山読むがよい。少し解らない節があって其処は飛ばして読んでいってもドシドシと読書していくと終いには解るようになる、又前後の関係でも了解せられる、其れでも解らないのは滅多に出ない文字である、要するに英語を学ぶ者は日本人がちょうど国語を学ぶような状態に自然的習慣によってやるがよい、即ち幾変となく繰り返し返しするが良い、ちと極端な話のようだが、之も自然の方法であるから手当たり次第読んでいくがよかろう。(以下略)」

これらの実験や実体験から、英語の多読に「効果がない」ということが誤っていることが分かりますね。

英語の多読の効果を最大限に引き出すための条件

前章では、英語の多読に「効果なし」というのは嘘であることを説明しましたが、岡崎氏らの同研究によると、英語の多読の効果を最大限に引き出すためには、以下の3つの条件を満たすことが必要です。

  • 基礎的な語彙を身につけていること
  • 十分な種類と量の教材があり、学習者が興味を持てる教材を選べる環境にあること
  • 学習者が自分のレベルに合った教材で多読に取り組めること

本章では、それぞれの条件について詳しく説明します。

基礎的な語彙を身につけていること

英語多読の効果を最大限に引き出すためには、あらかじめ基礎的な語彙力を身につけておくことが重要です。

多読では、辞書を使わずに文脈から意味を推測しながら読み進めることが求められます。

あまりにも語彙力が不足していると、内容を理解できず挫折してしまいやすくなるため注意が必要です。

目安としては中学レベルの英単語(1,0002,000語程度)を習得してから多読を始めると、スムーズに英文を読めるようになります。

まずは、語彙力をつけて多読の土台を固めましょう。

十分な種類と量の教材があり、学習者が興味を持てる教材を選べる環境にあること

学習者が興味を持てる豊富な種類と量の教材が揃っている環境であることも、英語多読の効果を高めるうえで欠かせない要素です。

多読は「楽しみながら読むこと」が基本であり、退屈な内容や教材では継続が難しくなります。

さまざまなジャンルの英語の本が大量にあれば、自分に合った本を選びやすくなり、自然と読書量が増えていくでしょう。

英語の多読にチャレンジする際には、学校や図書館、アプリなどを活用し、読みたいと思える本にいつでもアクセスできる環境を整えるようにしてください。

学習者が自分のレベルに合った教材で多読に取り組めること

学習者が自分の英語レベルに合った教材を選んで読むことも大切です。

難しすぎる教材は理解が追いつかず、途中で挫折する原因となってしまいます。

一方、易しすぎる教材では語彙や表現の習得の効果が薄いです。

目安としては、知らない単語が1ページに23語程度に収まるレベルの本を選ぶことをおすすめします。

自分の英語レベルに合った教材を選ぶと、無理なく英語に触れる時間を増やすことができ、語彙力と読解力が自然に伸びていきます。

多読は「分かるから楽しい、楽しいから続く」という好循環を生み出す学習法であり、そのためには適切なレベルの教材選びが欠かせません。

子供は「絵本」から英語多読をスタートさせることが望ましいです。

以下の記事では、読み聞かせや多読におすすめの英語の絵本やアプリを紹介しています。

興味がある方はあわせてご覧ください。

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そもそも英語の多読は?

そもそも英語の多読とは、辞書を引かずに自分のレベルに合った易しい英語の本を大量に読む学習法のことを指します。

「すべての英文を完璧に理解すること」ではなく、「大意を掴みながらスムーズに読み進めること」が多読の目的です。

多読といっても、「書籍」でないといけないわけではありません。

英語のWebサイトやアプリ、新聞記事など英語の文章であればどのような教材であっても大丈夫です。

多読を通じて繰り返し英語に触れているうちに、英語脳(読み書きした英語を「日本語を介さずに」、英語のままで理解できること)を育てられます。

英語の多読によって得られる学習効果

英語の多読によって得られる主な学習効果は、以下のとおりです。

  • 英文読解のスピード向上
  • リスニング力の強化
  • 語彙力や表現力の強化
  • 知らない単語やフレーズの意味を文脈から推測する力の強化

本章では、それぞれの学習効果について詳しく説明します。

英文読解のスピード向上

英語の多読を続けていくうちに、英文を読むスピードが自然と向上していきます。

多読によって、返り読みをせずに英語を英語の語順のままで理解できるようになるからです。

英語と日本語は語順が大きく異なるため、日本語に訳しながら読むと、英文を後ろから訳す必要があり、どうしても読む速度が落ちてしまいがちです。

日本語の文章と英語の文章の構造の違い
【英文】
The book  / that the teacher recommended / to us  / was  / surprisingly interesting.
その本は / 先生がすすめてくれた / 私たちに / 〜でした / 驚くほど興味深い【日本語訳】
先生が私たちにすすめたその本は、驚くほど面白かった。
→この英文を日本語に訳すと、意味の中心である”The book”「その本」の情報が文の最初にきているにもかかわらず、「誰が」「誰に」「どんな本をすすめたのか」といった修飾情報が後から続きます。
そのため、意味の通じる日本語訳にするためには、英文を後ろから訳していく必要があります。

一方、多読では最初からシンプルで理解しやすい英文を使用するため、日本語に訳さずそのまま意味を取る読み方が身につきます。

実際、鳴門教育大学附属中学校の中学1年生を対象に行れた実験でも、多読によって英文読解スピードが向上したことが実証されています。

英語を英語の語順で理解する力を育てる多読は、英文読解のスピード向上に効果的です。

リスニング力の強化

英語の多読による学習効果は、単にリーディング力の向上にとどまりません。

実はリスニング力の強化にも間接的につながります。

その理由は、前項でも述べたように、多読を通じて英語を英語の語順で理解できるようになるからです。

英語を語順通りに処理する力が身につけば、リスニング中もリアルタイムで英語を追えるようになります。

その結果、ネイティブスピーカーの速い会話や、複雑な構文にも柔軟に対応できるようになるのです。

多読を習慣化させると、リスニング中の負荷が軽減されて、よりスムーズに英語を聞き取る力が育っていきます。

語彙力や表現力の強化

多読では、易しい英語で書かれた文章をたくさん読むため、日常的によく使われる語彙やフレーズに繰り返し触れることができます。

同じ単語や表現を何度も目にすることで、意味を自然と覚えられるだけでなく、使用すべき場面や相手、ニュアンスなどもしっかりと理解できるようになります。

筆者はオーストラリア留学をしていた際にさまざまな留学生に出会い、英語力が高い留学生の友達にどうやって英語の勉強をしたのか尋ねたところ、全員が「英語の多読をした」と回答していました。

継続的に多読に取り組むうちに、単に知識として語彙や表現の幅が広がるだけでなく、実際に使える語彙・表現が増えて、結果として英語力全体の底上げにつながります。

知らない単語やフレーズの意味を文脈から推測する力の強化

英語の多読を通じて、知らない単語やフレーズの意味を文脈から推測する力が養われます。

多読では、辞書を引かずに大量の英文を読む必要があるため、前後の英文や状況から単語やフレーズの意味を推測しなくてはなりません。

このような読み方を繰り返していくうちに、単語単体ではなく、文章全体で意味を捉える力が自然と身についていきます。

例えば、”tasty”という単語の意味を知らなくても、”The food was so tasty that everyone loved it.”という文章を読めば、「美味しい」という意味であることが想像しやすくなるでしょう。

多読は、英文中のわからない単語やフレーズの意味を推測する力を高めるのに非常に効果的な学習法です。

英語の多読の効果を高めるために守るべきルール

多読の効果を高めるために、以下の3つのルールを守って取り組みましょう。

  • 多読中は辞書を引かない
  • 英語を英語の語順で読む
  • 飽きたら次の本を探す

本章では、これらのルールについて詳しく説明します。

多読中は辞書をひかない

英語の多読に取り組む際には、基本的に辞書は使わないようにしてください。

前章でもご紹介したように、辞書に頼らず英文を読むことで、分からない単語やフレーズの意味を推測する力を身につけられるからです。

辞書を引いてしまうと読書が途切れて楽しさが半減してしまうため、継続しにくくなります。

繰り返しになりますが、多読は「英文を完璧に理解すること」が目的ではありません。「大まかな内容を掴んでスムーズに英文を読むこと」が目的です。

多読中は辞書を引かないようにしましょう。

どうしても辞書がないと英文を読み進められない場合は、その教材が自分の英語レベルに合っていない可能性があります。

1ページの中で自分が知らない単語が2〜3語程度、あるいは辞書を使わなくても80〜90%程度内容が理解できる教材を選ぶようにしてください。

英語を英語の語順で読む

英語の多読に取り組む際には、英語を英語の語順で読むことが大切です。

「英文読解のスピード向上」の章でも説明したように、日本語と英語は語順が異なるため、日本語に訳しながら読むと、英文を後ろから処理する癖がついてしまい、読解スピードが落ちます。

英文を意味のかたまりごとに「/」(スラッシュ)で区切って読み進める読解法「スラッシュリーディング」を活用して、英語を英語の語順で読むことを意識しましょう。

スラッシュを入れる部分に決まりはありませんが、以下の部分にスラッシュを入れることをおすすめします。

【スラッシュを入れるおすすめの箇所】

  • 主語・動詞・目的語・補語など、文の構造が変わる箇所
    例:She. / bought  / a new bag.
  • 前置詞句の前
    例: He is waiting / at the bus stop.
  • 接続詞(and , but, becauseなど)の前
    例:I was tired,  / so I went to bed early.
  • 関係詞の前
    例:The book / that I borrowed was interesting.
  • 分詞構文・不定詞・動名詞などのまとまりの前後
    例:She left / to catch the train.
  • 副詞句や時間・場所を表す表現の前後
    例:He works / every Saturday.

スラッシュリーディングを習慣づけると、徐々に英語を英語の語順で理解できるようになります。

慣れてきたら、区切る範囲を広げて、最終的にはスラッシュを入れずに英文を読めるようになることを目指しましょう。

飽きたら次の本を探す

「飽きたら次の本に移る」という柔軟な姿勢で、英語多読に取り組みましょう。

多読は、楽しみながら続けることで効果が得られる学習法です。

無理に興味のない本を読み続けても集中力が続かず、英語力の向上にもつながりにくくなります。

逆に、興味があるテーマやジャンル、ストーリー性のあるものを選ぶと、自然と読書量が増えて、語彙力や読解力も向上しやすくなります。

多読では、楽しく続けることを最優先にしてください。

おすすめの英語多読教材

おすすめの英語多読教材は、以下の4つです。

  • ラダーシリーズ
  • ペンギン・リーダーズ
  • VOA Learning English
  • TIME for KiDS

本章では、それぞれの英語多読教材の特徴や魅力について詳しく紹介します。

ラダーシリーズ


出典:ラダー・シリーズ公式サイト

ラダー・シリーズは、「ハシゴ(ladder)」のように、学習者が段階的に英語力を伸ばしていけるよう設計された英文リーダーのシリーズです。

5段階のレベル分けがされており、100冊以上の教材が用意されています。

内容は、誰もが知る有名な文学作品から著名人の伝記まで多岐にわたり、興味のある教材が見つけやすいです。

さらに、各巻の巻末には本文に登場する重要な単語や熟語の意味が掲載されており、分からない語句があってもその場で確認しながら読み進めることができます。

>> 「ラダー・シリーズ」についてさらに詳しく知りたい方はこちらへ

ペンギン・リーダーズ


出典:Penguin Readers公式サイト

「ペンギン・リーダーズ」は、出版社ペンギン・ブックスによって提供されている英語学習者向けの書籍シリーズです。

オリジナル作品に加えて、名作文学や映画原作などジャンルも豊富で、自分の英語レベルや興味関心に合った本を見つけられるでしょう。

すべての書籍に理解度チェック用のテストワークシートが付属している点が嬉しいポイント。

また、音声データやテスト、ワークシートは公式サイトからダウンロードすることもできます。

つまり、英文の理解度を確認するためのアクティビティが充実しているということです。

>> 「ペンギン・リーダーズ」についてさらに詳しく知りたい方はこちらへ

VOA Learning English


出典:VOA Learning English

“VOA Learning English”は、アメリカの国営放送”Voice of America”が非ネイティブの英語学習者向けに提供している英語学習サイトです。

「教育」「政治・経済」「SDGs」など、幅広いジャンルのニュース記事が掲載しており、興味に応じて選べます。

それぞれの記事は以下の3つのレベルに分かれているため、自分の英語力に合った記事から無理なく読み進められることが特徴です。

  • BEGINNING(初級)
  • INTERMEDIATE(中級)
  • ADVANCED(上級)

英語初心者の方は、まずBEGINNINGレベルの記事から読み進めておき、慣れてきたら少しずつレベルアップしていくと良いでしょう。

また、一部記事では音源を聴くこともできるため、リスニングの学習にも活用できます。

>> “VOA Learning English”についてさらに詳しく知りたい方はこちらへ

TIME for KiDS



出典:TIME for KiDS

“TIME for KiDS”は、アメリカの国際的なニュース誌TIMEが、同名の雑誌に掲載されている記事を子供向けにアレンジした英文を紹介しているニュースサイトです。

サイトにアクセスすると、アメリカの幼稚園生から小学6年製までの読解レベルに対応したK-1からK-6のなかから、自分に合った難易度の記事を選べます。

子供向けとはいえ、「ビジネス」「サイエンス」「人体」など29ジャンルのトピックが用意されているため、関心のあるテーマが必ず見つかるでしょう。

また、それぞれの記事はおよそ150とコンパクトにまとめられているため、日々のスキマ時間でサクッと読み進められるのも嬉しいポイントです。

>> TIME for KiDSについてさらに詳しく知りたい方はこちらへ

これらの4つの教材以外にも英語の多読に役立つおすすめの教材について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてお読みください。

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英語の多読に関するよくある質問

最後に、英語の多読に関するよくある質問とその回答をご紹介します。

1日でどれくらいの時間や量の英語を多読するのが効果的?

英語の多読は、1日あたりの時間や量よりも「毎日継続すること」がもっとも重要です。

とはいえ、効果を実感しやすくするためには、11530分程度を目安に多読に取り組むことをおすすめします。

単語数で言うと、英語初心者の場合は1,000語前後、中級者以上は3,000語以上を目標にすると良いです。

無理に長時間読む必要はなく、病院やレストランでの待ち時間、バスや電車での移動時間などのスキマ時間を活用して少しずつ読み進めることでも十分効果があります。

繰り返しになりますが、大切なのは継続することです。まずは無理のない範囲から多読を習慣化させましょう。

多読と精読の違いは?

多読と精読の違いは、以下のとおりです。

 多読精読
目的英語にたくさん触れて語彙力や読解力を高める英文法や語彙、構文を深く理解する
教材の難易度自分の英語レベルより少し易しい読みやすい英文難しめの教材や試験対策用の英文
学習スタイル辞書を使わずテンポよく読み進める辞書を使って、英文の構造や文法を丁寧に確認する
期待される学習効果・読解スピードの向上・リスニング力の向上・知らない単語の意味を推測する力の向上・語彙力・表現力の強化・精密な読解力の向上・文法力や構文力の向上

多読は「量」を重視し、英語を英語のままで理解する力を育てることを目的とした学習法です。

一方、精読は「質」を重視し、英文の構造を深く理解し、意味を正確に捉えることを目的としています。

両方をバランスよく取り入れることと、目的やニーズに応じて学習方法を使い分けることが大切です。

英語の多読はどれくらいの期間で効果を感じられる?

吉井氏の研究「多読の効果と読書量の関係に関する一考察」によると、10万語以上の英語を多読することで、多読の学習効果をかなり実感できることが証明されています。

日本人は平均で1分間に100語英語を読めるとされており、時間に換算すると16時間程度です。

1日30分程度多読に取り組んだ場合、1ヶ月程度で学習効果が得られるという計算になります。

英語の多読が「効果なし」というのはウソ!ぜひ挑戦してみよう!

本記事では英語多読がもたらす学習効果と、学習効果を最大限に引き出すための条件やルール、そして英語多読におすすめの教材について詳しく説明しました。

英語多読は、「効果なし」ということはありません。

さまざまな研究や日本を代表する文豪夏目漱石が、英語多読は非常に効果的な学習法であることを証明しています。

しかし、学習効果を最大限に引き出すためには、以下の条件やルールに則って多読に取り組むことが必要です。

  • 基礎的な語彙を身につけていること
  • 十分な種類と量の教材があり、学習者が興味を持てる教材を選べる環境にあること
  • 学習者が自分のレベルに合った教材で多読に取り組めること
  • 多読中は辞書を引かないこと
  • 英語を英語の語順で読むように心がけること
  • 飽きたら次の本を探すこと

これらの点を留意し、1日15〜30分ほどの多読を1ヶ月ほど続ければ学習効果を実感できるようになるでしょう。

ぜひ本記事を参考にしながら、英語多読に挑戦してみてください!

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