なぜ英語の発音は難しいのか?つまずく原因と日本人に多い苦手ポイントを徹底解説

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英語の発音って、どうしてこんなに難しく感じるのでしょうか?
「うちの子、単語は読めるのに発音がちょっと…」
「聞き取れないって言うけど、どう教えたらいいの?」
そんな悩みをお持ちの保護者様も多いのではないでしょうか。
実は、日本人が英語の発音でつまずきやすいのには、きちんとした「理由」があります。
本記事では、日本語と英語の音の違いや、特に苦手とされる発音ポイント、そしておうちでできる発音サポートの方法まで、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
お子様の英語力をぐんと伸ばすために、まずは「発音のしくみ」を保護者様が知ることから始めてみませんか?
英語の発音が難しいと感じるのはなぜ?
英語の発音に苦手意識を持つ日本人はとても多く、お子様が英語を学び始めたときに「思ったように発音できない」「聞き取れない」と感じることは珍しくありません。
でも、その理由を知ることで、発音の悩みは少しずつ解決していけます。
ここでは、日本人が英語の発音でつまずく3つの大きな理由を、やさしく解説していきます。
日本語と英語では音の数が違う
英語が難しく感じる最大の理由の一つは、「音の数の違い」です。
日本語 | 英語 | |
母音 | 5個 あ・い・う・え・お | 21個 /i/, /ɪ/, /e/, /æ/, /a/, /ʌ/, /ɑː/, /ɔː/, /oʊ/, /ɒ//əʊ/, /ə/, /ɚ/, /ɜː/, /u/, /ʊ/, /aɪ/, /eɪ/, /aʊ/ /ɔɪ/, /juː/ |
子音 | 15個 か行・が行・さ行・ざ行・た行・だ行な行・は行・ば行・ぱ行・ま行・や行ら行・わ行・ん | 22個 /p/, /b/, /t/, /d/, /k/, /g/, /f/, /v/, /θ/, /ð/, /s/, /z//ʃ/, /ʒ/, /h/, /m/, /n/, /ŋ/, /l/, /r/, /j/, /w/ |
上記の表のように日本語には、母音(あ・い・う・え・お)を中心におよそ 20〜30種類の音しかありません。
一方、英語にはなんと40種類以上の音が存在します。
特に、母音の数が多くて複雑です。
例えば、日本語では「ア」と聞こえる音が、英語では「æ(catのa)」「ʌ(cupのu)」「ɑː(carのa)」など、まったく違う発音になります。
この違いが、発音だけでなく、リスニングにも影響します。
日本語にはない音を聞き分けたり、発音したりするのは、慣れていないととても難しいのです。
「カタカナ英語」が染みついている影響
学校や日常生活の中で、私たちは多くの英単語を「カタカナ英語」として覚えてきました。
- coffee→ 「コーヒー」
- compute → 「コンピューター」
- milk→ 「ミルク」
といったように、本来の英語の発音とは違う形で、日本語の音に置き換えて覚えている単語が多いですよね。
この「カタカナ英語」が体に染みついていると、英語本来の音を聞いても、頭の中で自動的にカタカナに変換してしまい、正しく発音したり、聞き取ったりするのが難しくなります。
英語の音は英語のまま、カタカナに頼らずに慣れていくことが、発音上達の第一歩です。
発音とリスニングはつながっている
発音がうまくできないと、リスニングも苦手になります。
これは、多くの親御さんが見落としがちなポイントです。
英語を聞き取れるようになるには、自分でもその音を発音できるようになることがとても大切。
つまり、「自分が出せない音は、聞いてもわからない」というのが英語の特徴なのです。
例えば、お子様が「RとLの違いが聞き取れない」と感じている場合、実はその音を発音する練習がリスニングの力を高める近道になることがあります。
耳と口はセット
おうちでの英語学習でも、「聞く」と「話す(発音する)」をバランスよく取り入れることで、自然と英語の音に強くなっていきます。
日本人が苦手とする英語発音の特徴
英語の発音でつまずきやすいポイントは、実は多くの日本人が共通して苦手にしている部分でもあります。
特に日本語にはない音や、似た音の区別が難しいところがいくつかあります。
ここでは、お子様が発音に苦手意識を感じやすい4つの特徴について、具体的に見ていきましょう。
「ア」がいくつもある?母音のバリエーション
日本語の「ア」はひとつですが、英語では「ア」と聞こえる音が3つ以上あります。
- cat(猫):「æ(エァ)」
- cut(切る): 「ʌ(ア)」
- cart(カート): 「ɑː(カー)」
それぞれ口の形も似ていますが、これらはすべて違う音なんです。
でも、日本語で表すとどれも「ア」っぽく聞こえてしまうため、発音も聞き分けも難しくなります。
英語では、口の開け方・舌の位置・音の長さによって母音が変わるので、そこに慣れていくことがポイントです。
「R」と「L」の違いが聞き取れない・言えない
「R」と「L」の音の違いも、日本人にとって大きな壁です。
right → Rの音は、舌は口の中のどこにも触れず、奥に引っ込めて出す音
light → Lの音は、舌先を前歯の裏につけて出す音
日本語にはこの2つの音がないため、両方とも「ラ行」の音に近くなってしまい、違いが聞き取れず、発音もあいまいになりがちです。
Rは舌を巻くと聞いたことがあると思いますが、それは間違っているんです。
正しくは、舌を引っ込めて発音をします。
舌を巻いたり、舌先が上顎につくことはありません。
こうした発音の間違えを、実際に口や舌の動きを真似しながら練習をすることで、少しずつ聞き分け・発音ができるようになります。
「th」の発音ができずに「サ行」になる
英語特有の「th」の音も、日本語にはないために難しく感じる発音のひとつです。
- think(考える)→ 舌を軽く前歯に挟んで「スー」と息を出す音
- this(これ)→ 同じく舌を前歯に当てて、声を出す音
これらの音を、日本人はよく「シンク」「ディス」のようにサ行やザ行で代用してしまいます。
でも、この小さな音の違いが意味の違いにつながることもあるので、舌の使い方を意識して発音する練習が大切です。
語尾の子音がうまく発音できない
日本語は基本的に「母音で終わる言葉」が多いため、英語のように子音で終わる単語に慣れていません。
- big(大きい)
- stop(止まる)
- milk(ミルク)
これらの語尾の「g」「p」「k」などの子音が発音されずに抜けてしまうと、ネイティブには通じにくくなります。
英語では、語尾の子音をしっかり止めたり、軽く出したりすることで、単語の意味が正しく伝わるのです。
たとえ小さな音でも、「言わなくていい音」ではなく「とても大事な音」なんだということを、少しずつ意識していくとよいでしょう。
発音は「聞く」「真似する」「体で覚える」ことで自然と上達していきます。
苦手な音を知ることは、英語力アップの第一歩です。
親子で一緒に発音を楽しみながら練習していきましょう!
子供に発音を教える前に知っておきたいこと
英語の発音をお子様に教えるとき
「どうやって教えたらいいの?」
「自分の発音に自信がない…」
と感じる保護者様も多いはず。
ですが、実は発音の土台は教えることより、環境をつくることがとても大切です。
ここでは、英語の発音練習を始める前に親として知っておきたい大事なポイントを3つご紹介します。
発音は「耳」を育てることから始まる
英語の発音を上達させるには、まずは「聞く力=耳」を育てることがとても大切です。
英語の音をたくさん聞いて「こんな音があるんだ」と脳と耳が慣れることで、自然と発音もできるようになっていきます。
まだ発音がうまくできなくても、英語の歌や絵本、動画などを通して毎日英語の音を耳に入れるだけで、将来の発音力に大きな差が出るとも言われています。
大人が完璧に発音を教える必要はありません。
まずは親子で「英語の音を楽しむ」ことから始めてみましょう。
おうち英語で気をつけたい発音のポイント
おうちで英語にふれる際、発音で気をつけたいのは以下の3点です。
1. カタカナ発音に頼らない
英語の音を日本語で表すのは難しく、誤解を生みやすいので、なるべく本物の音を聞かせましょう。
2.ゆっくり、はっきり発音してあげる
子供はまねをしながら発音を覚えていきます。
保護者様がやさしい英語で、クリアに話すだけでも十分効果的です。
3.発音を正すより、ほめる
はじめは間違っていて当たり前。
「よく聞いてまねしたね!」と声をかけてあげると、英語に対する自信と意欲が育ちます。
正しさよりも「英語を口に出す楽しさ」が優先。
おうちでの関わり方が、発音への苦手意識をなくすカギになります。
正しい発音を身につけるのは何歳からでもOK
「うちの子、もう小学生だから発音は無理かも…」
そんなふうに思ってしまう方もいますが、発音の習得に「遅すぎる」はありません。
確かに、英語の音を自然に吸収しやすいのは幼児期と言われていますが、正しい方法で練習すれば、小学生でも中学生でも、大人でも発音は上達します。
特に今は、子供向けの英語発音アプリやYouTubeの発音動画など、親子で楽しく学べるツールがたくさんあります。
保護者様が「今からでも大丈夫」と信じてあげることで、お子様のやる気もグッと高まりますよ。
英語の発音は、「聞く」・「まねる」・「続ける」この3つがポイントです。
最初から完璧を目指さなくても大丈夫。まずは毎日、親子で英語の音を楽しむことから始めてみましょう!
家庭でできる!英語発音の苦手を克服する方法
英語の発音は、特別な教材や英会話教室がなくても、おうちで楽しく練習することができます。
むずかしく考える必要はありません。
毎日少しずつ「聞いて」・「まねる」だけでも十分な効果があります。
ここでは、親子で一緒にできる発音の練習法を3つご紹介します。
母音を聞き分ける練習法
英語の発音でつまずきやすいのが「母音の違い」です。
日本語では1つの「ア」の音でも、英語では「cat」や「cut」などで違う音になります。
これを克服するには、耳を育てることが第一歩。
例えば次のような方法がおすすめです。
- ネイティブの発音が聞ける英単語アプリで、似た音を聞き比べてみる
例:「cat」「cut」「cart」など - 単語の音を聞いて、親子で「同じに聞こえる?違う?」とクイズ形式で楽しむ
- 真似して発音してみて、スマホの録音機能などで聞き返してみる
聞き分け力を高めると、自然と発音も上達していきます。
遊び感覚で取り入れるのがコツです。
口の形・舌の位置を意識した練習
英語の発音は、口の動きや舌の使い方がとても重要です。
日本語とは筋肉の使い方が違うので、まずはそこに意識を向けてみましょう。
おすすめは、鏡の前で一緒に口の形をチェックすること。
「R」 → 舌を後ろに引いて丸める
「L」 → 舌先を前歯の裏に当てる
「th」 → 舌を軽く前歯に出して「スー」と息を出す
YouTubeなどの発音解説動画を見ながら、親子でマネしてみるのも効果的です。
子供は表情や動きをまねるのが得意なので、遊びながら練習できる環境をつくると自然に慣れていきます。
おすすめのアプリ・動画・絵本の活用
英語の発音を家庭で練習するなら、デジタル教材や絵本の活用も大きな助けになります。
以下は特に人気で使いやすいものです。
アプリ
ELSA Speak:AIが発音の正確さをチェックしてくれる
Lingokids(子供向け英語学習アプリ):ゲーム感覚で楽しめる
YouTubeチャンネル
Maple Leaf Learning:歌やダンスで発音の基礎に触れられる
Rachel’s English(レイチェルの英語):大人にもおすすめの発音解説
絵本
Dr. Seussシリーズ:リズムのある英語で発音練習に最適
Peppa Pig英語絵本:子供が親しみやすい内容で、音読にも◎
こうしたツールを活用すれば、保護者様が英語が得意でなくても大丈夫。
正しい発音にふれる時間をつくるだけで、耳と口が自然に育っていきます。
発音は、毎日のちょっとした工夫でぐんぐん伸びていきます。
「できた!」「通じた!」という小さな成功体験が、子供の英語への自信になります。
まずはおうちでできることから、気軽にスタートしてみましょう!
まとめ|発音は“知れば変わる”
英語の発音が難しく感じるのは、決してお子様や保護者様のせいではありません。
日本語と英語では音の数や使い方がまったく違うため、最初につまずくのはごく自然なことです。
でも、英語の音の仕組みを知り、親子で楽しく発音にふれる時間を積み重ねていけば、発音は必ず上達していきます。
特に大切なのは次の3つです。
- 日本語にない英語の音に「耳を慣らすこと」
- カタカナ発音ではなく「本物の音に触れること」
- 発音を完璧に教えるよりも「環境をつくってあげること」
子供にとって、英語の発音は「まねること」「楽しむこと」が一番の近道です。
そして保護者様が「一緒にやってみよう」と寄り添う姿勢こそが、お子様のやる気を引き出してくれます。
「正しく話す」ことばかりにとらわれず、まずは「英語を口に出してみる」ことからスタートしてみましょう。
きっと、親子で英語を楽しむきっかけになります。