「さすが(流石)に」は英語で何と言う? ニュアンス別表現を例文付きで解説
「さすがにそれはない」「さすがに疲れた」など、「さすが(流石)」はいろんな場面で使える便利な言葉です。
しかし、いざ「さすが」を英語で表現しようとすると、相当する英単語が見つからず悩んだことのある方もいるのではないでしょうか。
じつは「さすが」の意味は1つではないため、文脈によって英語表現を使い分ける必要があります。
そこでこの記事では「さすがに」の英語表現をテーマに、ニュアンス別の表現を例文を交えながら解説します。
日本語では使いどころの多い表現なので、この記事を読んで英語でも同じくらい使いこなせるようになりましょう。
英語にする際に大事な「さすがに」の意味
最初に「さすがに」という言葉がもつ2つの意味を確認しておきましょう。
1つは、期待どおりであることや当然の状況になったことを確認したり感心したりする気持ちを表します。
例えば、「さすがにプロなだけあって、品質は完璧です」のような使い方です。
この意味には肯定的なニュアンスが含まれます。
もう1つは、前提条件に対して相反する感情を抱いたり限度を感じたりする状況を表します。
例えば、「ラーメンは好きだが、毎日食べていたらさすがに飽きる」のような使い方です。
この意味には否定的なニュアンスが含まれます。
このようにどちらのニュアンスで「さすがに」を使うかによって英語での言い表し方は大きく変わります。
2つの意味を把握したうえで、次項からニュアンス別の英語表現を解説します。
「(当然・期待どおりで)さすがに」の英語表現
まずは、当然だと感じたり予想どおりだと思ったりして「さすがに」と言いたい場合の英語表現を見ていきましょう。
この「さすがに」は、「なるほど」「やはり」「もちろん」に似たニュアンスをもつのが特徴です。
as expected (予想どおり)
「as expected」は、「予想どおり、案の定」という意味のフレーズです。
よりフォーマルな言い回しには「as might be expected」や「as one would expect」などの表現もあります。
例文:
As expected, the IT expert solved the PC problem with ease.
(さすがにIT専門家なだけあってPCの問題を難なく解決しました。)
She speaks English fluently, as might be expected from her long stay in the U.S.
(さすがにアメリカに長くいただけあって、彼女は流暢に英語を話します。)
as I thought (思ったとおり)
「思ったとおり」という意味の「as I thought」は、「as expected 」に似た英語表現です。
「as expected」が客観的に予想されることを述べるのに対し、「as I thought」は主観的な意見や個人の感想を述べる場合に使われます。
例文:
As I thought, the store was already closed.
(さすがにその店は閉まっていた。)
As I thought, first-grade math was too easy.
(さすがに小学1年生の算数は簡単すぎた。)
of course (もちろん)
日常会話でよく使われる「of course」も、下記例文のように「さすがに」を表現することができます。
「当然」「もちろん」といったニュアンスを込めたい場合にぴったりのフレーズです。
例文:
Of course, I know this Christmas song.
(さすがにこのクリスマスソングは知っているよ。)
Of course I have a smartphone, like everybody else.
(他のみんなと同じようにさすがに私もスマホを持っている。)
It’s only natural (that) (~なのも当然だ)
「It’s only natural that〜」は、「当然、自然」のニュアンスを込めたい場合に使える表現です。
例文:
It’s only natural that you get angry when someone treats you unfairly.
(不当な扱いを受けたらさすがに怒るのも当然です。)
It’s only natural that it’s cool in the forest even in summer.
(森の中は夏でもさすがに涼しい。)
That’s 〇〇 for you. (〇〇らしい)
「That’s 〇〇 for you.」は「〇〇」の中に人の名前や地名などを入れて、それの典型的な特徴を表す時に使われるフレーズです。
下記例文のようなポジティブな内容に限らず、ネガティブな内容に対しても使われます。
He broke another record?! That’s Ohtani for you.
(また記録を更新したの?!さすが大谷ですね。)
That’s my 〇〇. (さすが私の~)
自分の子供や恋人など親しい間柄の相手を「さすが」と褒める時に使われるフレーズが、「That’s my 〇〇」です。
Wow, top grades in all exams? That’s my boy!
(全ての試験でトップ成績だったの?さすが私の息子だ。)
「(予想外・限界で)さすがに」の英語表現
ここからは、限界を感じたり相反する感情を抱いたりして「さすがに」と言いたい場合の英語表現を見ていきましょう。
この「さすがに」は、「いくらなんでも」や「そうは言うものの」に似たニュアンスをもちます。
having said that (そうは言っても)
「having said that」は「そうは言っても」という意味の慣用表現です。
直前に述べたことの補足説明や反対の意見を述べる時に使われます。
類似表現「that said」や「that being said」も同様の意味です。
例文:
I really enjoyed climbing Mt. Fuji. That said, I’m exhausted today.
(富士登山は楽しかったけど、さすがに今日は疲れた。)
I like spicy food. Having said that, this dish is too spicy to eat.
(辛いものが好きだけど、さすがにこの料理は辛すぎて食べられない。)
There’s no way (~はあり得ない)
「There’s no way」は、後ろに文章を置いて、起こり得ないことを説明する時に使える表現です。
「There is」を省略した「No way.」は、「まさか、あり得ない」と感情を表現するくだけた言い回しになります。
例文:
There’s no way I can spend summer without air conditioning.
(夏をエアコンなしで過ごすなんてさすがにそれはあり得ない。)
There’s no way we can learn a new language in just one day.
(たった1日で新しい言語を習得するのはさすがに無理だね。)
pushing it (度を超えている)
「push it」には「限度を超えて何かを続けようとする」という意味があります。
「押す」という「push」のコアイメージから度を超えた言動に使われます。
You can wear whatever you like, but this may be pushing it.
(好きな服を着て構わないけど、さすがにこれは攻めすぎかもね。)
That’s 〇〇 much. (度が過ぎる)
「That’s 〇〇 much」は、量や程度が多すぎる場合に使われる表現です。
〇〇の部分は、 程度によって大きく次の3段階に分けましょう。
- That’s a bit much.
(ちょっとやりすぎ。) - That’s too much.
(やりすぎ。) - That’s way too much.
(かなりやりすぎ。)
程度の度合いは、下にいくほど強くなります。
例文:
I like sweets, but eating a whole cake alone is a bit much.
(甘いものは好きだけど、1人でホールケーキを食べるのはさすがにちょっと多すぎる。)
She brought three suitcases for just a weekend trip. That’s way too much.
(彼女が週末旅行にスーツケースを3つも持ってきたのは、さすがにやりすぎだね。)
That’s asking too much. (無理な話だ)
前述の「That’s 〇〇 much」と似た表現ですが、「That’s asking too much.」は要求の程度が高すぎる場合に使われる表現です。
例文:
You wanna borrow $1000? We’re friends, but that’s asking too much.
(1000ドル借りたいって?友だちだけど、さすがに無理だよ。)
I want you to help me finish my report, but that might be asking too much.
(レポートを仕上げるのを手伝ってほしいけど、さすがに無理なお願いかもね。)
That’s going too far. (やり過ぎだ)
「That’s going too far.」は、許容範囲を超えた言動に対して使われる表現です。
My boss asked me to work until midnight. That’s going too far.
(上司が夜中まで働けと言ってきた。さすがにやり過ぎだよ。)
まとめ
「さすがに」の英語表現は、日本語のようには一語で言い表せません。
「さすがに」に込められている意味は肯定的なのか否定的なのかを明確にして、文脈に合った自然な英語表現に言い換える必要があります。
この記事で紹介した英語表現や例文を参考に、日本語並みに英会話で「さすがに」を使い分けてみましょう。