「アダルトチルドレン」の意味とは？原因や特徴を「英語」から知りましょう！

「Adult Children（アダルトチルドレン）」という言葉を聞いたことはありますか？

最近は日本でもカタカナ表記で見ることが多い単語ですが、ほとんどの方が「大人になりきれていない、子供のような大人」と捉えがちです。

しかし、英語圏での意味と日本での理解には大きな違いがあるのです。

そこで本記事では、英語における「アダルトチルドレン」に焦点を当て、基本的な意味や特徴、重要な関連表現まで、丁寧に解説していきます。

より専門的で正しい知識を身につけて、あなたの英語スキル向上に結びつけてもらえたら幸いです！

「Adult Children（アダルトチルドレン）」の定義と由来

「Adult Children（アダルトチルドレン）」は、もともと1970年代後期にアメリカで生まれた言葉です。

最初は「Adult Children of Alcoholics」として、アルコール依存症の親を持つ成人した子供たちを指す用語として使われていました。

しかし現在では、対象が幅広くなり「アルコール依存症に限らず機能不全の家族のなかで育った人々（Adult Children of Dysfunctional Family）」を意味する概念として使われています。

例えば、以下のような家庭環境で育った人々が対象です。

• アルコール依存症や薬物依存症の親を持つ家庭
• 精神疾患を抱える親がいる家庭
• 虐待やネグレクトがあった家庭
• 感情的に不安定な家庭環境
• 完璧主義者がいる家庭
• 過度に厳格または放任的な家庭

注意すべきなのは、機能不全家族（Dysfunctional Family）には厳格な定義がなく「どのような家庭環境であればアダルトチルドレン」に該当するのかは定かではないということ。

日本では「アダルトチルドレン」のことを「子供のような、大人になりきれない大人」と、個人の性格が原因であるような言い方がされますが異なります。

複雑な家庭環境によって何かしら精神的な問題を抱えている人々のことを指すのです。

「Adult Children」を「AC」と略して表記する場合もあるので、あわせて覚えておきましょう！

「Adult Children（アダルトチルドレン）」の特徴とは

一般的に「アダルトチルドレン」には、心理面だけでなく行動面も含め様々な特徴があります。

しかし、いくら特徴があてはまったとしても一概に「アダルトチルドレン」であるとは言い切れないので、その点は注意する必要があります。

そのなかでウォイテッツ（Janet G. Woititz）は、臨床経験の結果から 「アダルトチルドレン」には以下13の心理的特徴があると述べています。

自己肯定感が低かったり、また虚言癖があったりと「アダルトチルドレン」の特徴は様々です。

そしてこういった歪んだ認知に対する具体的な治療法はありません。

1. 正しいと思われることに疑いを持つ。
2. 最初から最後まで、ひとつのことをやり抜くことができない。
3. 本音を言えるようなときに嘘をつく。
4. 情け容赦なく自分を批判する。
5. 何も楽しむことができない。
6. 自分のことを深刻に考えすぎる。
7. 他人と親密な関係を持てない。
8. 自分が変化を支配できないと過剰に反応する。
9. 常に承認と賞賛を求めている。
10. 自分と他人とは違っていると感じている。
11. 過剰に責任を持ったり、過剰に無責任になったりする。
12. 忠誠心に価値がないことに直面しても、過剰に忠誠心を持つ。
13. 衝動的である。行動が選べたり、結果も変えられる可能性があるときでも、お決まりの行動をする。その衝動性は、混乱や自己嫌悪や支配の喪失へとつながる。そして、混乱を収拾しようと、過剰なエネルギーを使ってしまう。

引用元：Woititz, J. G, 1983, Adult Children of Alcoholics, Health Communications. 斎藤学・白根伊登恵訳, 1997「アダルト・チルドレン──アルコールの問題家族で育った子供たち」金剛出版.

「アダルトチルドレン」は上記のような特徴が原因となって、うつ病や適応障害など二次障害につながってしまうことも…。

まずは自分が「アダルトチルドレンかもしれない」という認識を持ち、心理療法を受けたりグループミーティングに参加したりすることで生きづらさを改善していく必要があります。

また英語表記ではありますが「自身がアダルトチルドレンである可能性があるかどうか」を簡単にチェックできるサイトもあるので確認してみてください。

Adult Children of Alcoholics® & Dysfunctional Families World Service. 

「Adult Children（アダルトチルドレン）」が演じてしまう6つの役割

「アダルトチルドレン」は、前項で挙げた心的特徴を内面化するために、以下のような役割を演じて自身と家族を守ろうとする傾向があります。

1. Hero（ヒーロー）

勉強やスポーツなどで好成績を残し、家族全体がよく見えるように努力します。

しかし1位に固執してしまうため、達成できない自分を「不完全」で「無価値」だと考える傾向があるのです。

2. Scapegoat（スケープゴート）

非行や犯罪行為などの反社会的行動を繰り返すことで、自分に注目してもらい、家族に問題があることを主張します。

3. Lost Child（ロストチャイルド）

自分の心が傷つかないように家族と距離を取ることが多いです。

一緒に行動しなかったり、気付いたらいなくなってしまったりします。

4. Clown（ピエロ）、Mascot（マスコット）

家族のなかでおもしろく振舞い、家族の葛藤を減少させることに尽力します。

家族のなかではひどい扱いを受けていますが、当人もそれを楽しんでいるかのように見えてしまいます。

5. Placater（プラケイター）

家族の問題を解決するために、仲介役に徹します。

「小さなカウンセラー」と呼ばれることも。

他人にばかり注意を向けるので自分の感情をあまり認識できません。

6. Enabler（イネイブラー）

他人を世話することに尽力する傾向があります。

男の子だと母親と、女の子だと父親と「夫婦のような」関係を築くことで、自身の存在を守ろうとします。

参考：小西真理子 2017「共依存の倫理──必要とされることを渇望する人々」晃洋書房.

「アダルトチルドレン」を使った例文

「アダルトチルドレン」に関連する重要な英語表現

「アダルトチルドレン」について、英語で話す際に知っておくべき重要な表現をまとめました。

英語	日本語訳
dysfunctional family	機能不全家族
emotional trauma	感情的トラウマ
codependency	共依存
Inner child	インナーチャイルド
vulnerable adult	支援が必要な成人
HSP（Highly Sensitive Person）	非常に感受性が強く敏感な気質もった人 （アダルトチルドレンは後天的なのに対し、HSPは先天的）

 

 おわりに

本記事では、英語における「アダルトチルドレン（Adult Children）」について、その意味から特徴、そして実践的な使用例まで詳しく解説しました。

この言葉が単なる「大人の子供」という直訳では理解できない、深い心理学的意味を持つことをご理解いただけたでしょうか。

「アダルトチルドレン」という概念は、英語圏で生まれ、世界中で共有されるようになった重要な心理学用語です。

この言葉を正しく理解し使いこなすことは、英語でのコミュニケーション能力を高めるだけでなく、人間の心理や社会問題への理解を深めることにもつながります。

今回お伝えしたことを覚えていただき、あなたの人生の糧にしていただけると幸いです！

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