英語の長文が読めない理由と解決法:初心者でも今日からできる対策4選
英語の長文が読めない。
これは多くの英語学習者が抱える共通の悩みです。
「単語はわかるのに意味がつかめない」
「試験時間内に読み終わらない」
「集中力が続かない」
など、長文読解にはさまざまな壁があります。
しかし、読めない原因には共通の傾向があり、適切なトレーニングを実践すれば、誰でも少しずつ克服することができます。
この記事では、英語長文が読めない理由を整理し、それぞれに合った具体的な対策とトレーニング法をわかりやすく解説します。
英語の長文が読めない3つのケース
単語はわかるのに、長文になると意味がつかめない
非常に多くの人がつまずくのが、「単語の意味はわかるのに、文全体の内容が理解できない」というケースです。
文中に登場する単語は見覚えのあるものばかりなのに、読み進めても何が言いたいのかつかめない。
まるで単語がバラバラに並んでいるだけのように感じてしまい、理解が止まってしまう。
これは、以下の2つが主な原因と考えられます。
- 文法の知識があいまい
- 構文(文の構造)を正しくとらえられていない
英語では、語順が意味を決定します。
単語を「意味のかたまり(チャンク)」として捉え、文構造を理解する力がないと、正確な読解が難しくなります。
I was about to go out when the phone rang.
(電話が鳴ったとき、ちょうど出かけようとしていた。)
すべて中学で習う単語ですが、「be about to〜=まさに〜しようとしている」という構文を知らなければ、自然に意味をつかむのは難しいでしょう。
このように、語彙力だけでは対応しきれない「構文理解」が、長文読解のカギになります。
解決のヒント
- 文構造(SVOC、関係詞、前置詞句など)を意識しながら読む
- 構文解説付きの教材で、1文ずつ丁寧に精読する
長文を読むのに時間がかかる
「内容はなんとか理解できるけれど、1ページ読むのに10分以上かかる」
「問題を時間内に解き終わらない」
こういった悩みは、英語の処理スピード不足が原因です。
特に、日本語の語順に訳しながら読むクセがあると、読解スピードは大きく落ちてしまいます。
たとえば次のようなプロセスを、無意識にやっていないでしょうか?
英文を見る → 単語を一語ずつ日本語に訳す → 英文全体の意味を推測する
このプロセスでは、「英語→日本語→理解」と2段階で処理するため、時間がかかるだけでなく、意味があいまいになることもあります。
英語を「英語のまま」理解する読み方が身につくと、読むスピードも理解力も飛躍的に向上します。
英語上級者の多くは、文章を「意味のかたまり(チャンク)」ごとに捉えて内容を理解しています。
The city decided to ban plastic bags to reduce environmental waste.
(その都市は環境ごみを減らすためにビニール袋を禁止することを決めた)
初心者の読み方
the city(その都市)→ decided(決定した)→ to ban(禁止するために)→ plastic bags(ビニール袋を)→ to reduce(減らすために)→ environmental waste(環境ごみを)
と、文の後ろまで読んで、最後に全体の意味(その都市は環境ごみを減らすためにビニール袋を禁止することを決めた)を組み立てます。
英語上級者の読み方
- The city decided(その都市は決めた)
- to ban plastic bags(ビニール袋を禁止することを)
- to reduce environmental waste(環境ごみを減らすために)
という「意味のかたまり(チャンク)」で情報を瞬時に処理します。
この「チャンク読み」の習慣を身につければ、読解スピードは大きく変わります。
解決のヒント
- 単語ではなく、意味のかたまりを意識する
- 英語の語順のまま理解する練習をする
集中力が続かない
「最初は頑張って読んでいたのに、途中で疲れて頭に入らなくなってきた」という悩みも多く聞きます。
英語の長文を読むには、「読むための集中力」が必要です。
そして、この集中力は、筋トレのように徐々に育てる必要があります。
いきなり長文に挑むのではなく、短い文章から慣れていくのが効果的です。
また、集中力が切れる原因として「受け身の読み方」もあります。
ただ目で追っているだけでは内容がぼんやりして、集中が切れてしまいます。
逆に、「なぜこの話題が出てきたのか?」「この段落の主張は何か?」と自分に問いかけながら読むことで、集中力は格段に持続します。
解決のヒント
- まずは短め(100〜150語程度)の英文を1日1つ読むことからスタートしてみる
- 読み終えたあとに「この段落は何について書いてあったか」を考える
英語長文を読めるようになる4つのトレーニング
英語の長文が読めない原因がわかったら、正しい手順で、段階的に力をつけていくことが重要です。
ここでは、実際に多くの学習者が効果を感じている4つの方法を紹介します。
今のあなたのレベルに合わせて、できるところから取り入れてみてください。
語彙と構文を文脈の中で覚える
「単語は覚えたはずなのに、文章になるとわからなくなる」パターンは、語彙の「使われ方」を理解していない状態です。
単語帳で覚えるのも大切ですが、実際に文の中でその単語がどう使われるかを知ることが、長文読解には欠かせません。
練習方法
- 構文解説付きの問題集で文構造を確認する
- 英単語は例文ごとに暗記する
スラッシュリーディングでチャンクを意識する
「長文を読むのに時間がかかる」場合は、英語をチャンク(意味のかたまり)で読む練習をしましょう。
効果的なのが「スラッシュリーディング」です。
これは英文をチャンクごとにスラッシュ「/」で区切りながら読み進める読解法で、英語の語順のまま意味をつかむ力が身につきます。
The company / plans to expand / its services / in Southeast Asia / by next year.
(その会社は/拡大する予定だ/自社のサービスを/東南アジアで/来年までに)
このように「主語」「動詞」「目的語」「場所」「時」を区切って読むことで、語順のまま意味をつかみやすくなります。
はじめは自分でスラッシュを入れながら読むと効果的です。
慣れてくると、頭の中で自然に区切れるようになります。
練習方法
- 英文にスラッシュを書き込みながら読む練習をする
- 「意味のかたまり」を見つけて、日本語に訳さず英語の語順で理解する練習をする
段落ごとに要点を整理する
集中力が続かない場合は、「段落単位」で要点をつかむ読み方が効果的です。
文章全体を通して読もうとすると疲れてしまいがちですが、段落単位で「この段落では何を言っているのか?」を把握するよう意識すると、読解の負担がぐっと軽くなります。
たとえば、「宿題は本当に必要か?」というテーマの英文が3つの段落に分かれていた場合、それぞれ次のように整理できます。
第1段落:問題提起
「宿題は子どもにとって必要なのか?」という問いを投げかけている。
第2段落:意見と根拠
「宿題は学力向上に効果がある」と主張し、統計データなどを紹介している。
第3段落:結論
「よって宿題には意味がある」とまとめている。
このように各段落の要点を整理しておくと、読み終わったあとでも内容がしっかり記憶に残ります。
練習方法
- 段落ごとに「一言要約」を自分でつけてみる
- 接続詞(however, in contrast, for exampleなど)をヒントに話の流れをつかむ
精読と多読をバランスよく取り入れる
最終的に、英語長文の読解力をつけるには、精読(じっくり読む)と多読(たくさん読む)の両方が必要です。
- 精読 → 文法・構文・語彙の確認をしながら、1文ずつ丁寧に読む
- 多読 → 知っている語彙・文法が多く含まれる文章を、とにかくたくさん読む
精読だけではスピードが上がらず、多読だけでは深い理解が育ちません。
両者を交互に行うことで、「理解力」と「読解スピード」の両輪が育ちます。
練習方法
- 精読では必ず文の構造や論理をチェックする
- 多読では辞書を使わず、推測して読む力を鍛える
まとめ:英語の長文は「正しい方法」で必ず克服できる
英語の長文が読めないのは、あなたの努力が足りないからではありません。
単語の意味がわかっても構文が取れなかったり、読むスピードが遅かったり、集中力が続かなかったりと、読解にはいくつかの「壁」があるだけです。
この記事で紹介したように、原因を知り、それに合ったトレーニングを実践すれば、誰でも少しずつ読めるようになります。
まずは「意味のかたまり」で読むことを意識しながら、短い英文からコツコツ取り組んでみましょう。
毎日の小さな積み重ねが、「長文をスラスラ読める自分」への一番の近道です。
必ず自分の力になるのでコツコツ続けていきましょう。