「コミットする」は英語で? 「commit」の意味・使い方・例文でわかる本当のニュアンス

「結果にコミットします」という言葉をよく聞きます。
日本語では「責任を持ってやり遂げる」「必ず結果を出す」といった意味で使われますが、実はこの表現、英語の「commit」とは少しニュアンスが異なります。
英語の「commit」は、単なる「約束」ではなく、「責任を持って行動し、継続的に努力する」という強い意味を持つ動詞です。
ビジネス英語でも頻出し、信頼・誠実さ・主体性を伝えるうえで欠かせない表現のひとつです。
この記事では、「commit」の基本的な意味や語源から、「罪を犯す」「専念する」「時間やお金を投じる」といった使い方の違い、さらに日本語の「コミットする」とのズレ、ビジネスでの自然な表現までを例文とともにわかりやすく解説します。
この記事を読み終えるころには、「commit」を自然に使いこなせるようになっていることでしょう。
英語「commit」の基本的な意味と語源
英語の「commit」は、動詞で以下のような意味を持ちます。
- (罪・ミスなどを)犯す
- (自分を)ゆだねる、専念する
- (時間・労力・お金を)投入する
語源はラテン語 「committere(com=共に+mittere=送る)」で、「何かを任せる・委ねる」というニュアンスがもともとあります。
つまり、「commit」は「責任や覚悟を持って、何かを行う・関わる」という強い意味を含んでいます。
ただの「やる」ではなく、「約束して行動に移す」イメージを持つと覚えやすいでしょう。
「commit」の3つの基本的な意味
「commit a crime」 ― 罪を犯す・悪事を働く
「commit」は「悪い行為を行う」という意味で使われます。
法律や倫理的に「してはいけないことをする」というニュアンスで、ニュース記事などでも頻出です。
例文:
He committed a serious crime.
(彼は重大な罪を犯しました。)
She committed a terrible mistake during the presentation.
(彼女はプレゼン中に大きなミスをしました。)
「commit a crime / mistake / error / fraud」のように、否定的な名詞と組み合わせて使うのが特徴です。
「commit oneself to ~」 ― ~に専念する/約束する
「oneself」が入ると、「自分自身を〜にささげる」「全力で取り組む」という意味になります。
「覚悟を決めて、特定の目標や活動に集中する」イメージです。
例文:
She committed herself to the project.
(彼女はそのプロジェクトに専念しました。)
He committed himself to helping others.
(彼は他人を助けることに身を捧げました。)
ビジネスで「責任を持って取り組む」「本気で向き合う」という意味で自然に使えます。
努力・献身・誠実さを伝えたいときに最適な表現です。
「commit money / time / resources」 ― ~を投じる・費やす
このパターンでは、「commit」のあとに「お金・時間・リソース」など具体的な言葉を置き「何かに対して資源を割く」「資金や労力を投入する」という意味になります。
例文:
The company committed more funds to R&D.
(その会社は研究開発にさらに資金を投じました。)
We committed a lot of time to improving the system.
(私たちはシステム改善に多くの時間を費やしました。)
ビジネス英語では非常によく使われる表現で、「commit resources / budget / manpower」 のように組み合わせて覚えると便利です。
日本語の「コミットする」と英語「commit」の違い
「結果にコミットする」は和製英語
日本語で「コミットする」という表現をよく聞きます。
特にビジネスシーンでは「結果にコミットする(=成果を保証する・責任を負う)」という決意表明のような使われ方が広く浸透しています。
しかし、この用法は本来の英語「commit」の意味とはやや異なります。
「commit」は確かに「専念する」「約束する」という意味を含みますが、英語では「成果」よりも「過程」や「努力の継続」に焦点が置かれるからです。
そのため、日本語でよく聞く「結果にコミットする」をそのまま「commit to results」と訳すと、ネイティブには少し不自然に響きます。
英語の「commit」は「責任+行動を伴う約束」
英語の「commit」は、「責任を持って行動する約束」を意味します。
「commit to ~」の形で使われるときは、「~のために努力を惜しまない」「全力で取り組む」といったニュアンスになります。
ここで大切なのは、単に約束するだけでなく、実際の行動が伴うという点です。
つまり、英語での「commit」は「結果」に対して責任を取るというよりも、「目標達成のために努力し続ける姿勢」や「主体的に関わる意志」を示す言葉なのです。
例文:
We commit to providing excellent service.
(私たちは優れたサービスを提供することに全力で取り組みます。)
She committed herself to learning English.
(彼女は英語学習に真剣に取り組みました。)
このように、「commit」は「自分をある目的や価値にゆだねる」「長期的に尽力する」という誠実さや責任感を表します。
単なる「約束」よりも一歩踏み込んだ「覚悟ある姿勢」を示す言葉です。
「結果にコミットする」の英訳「I commit to the results.」が不自然に聞こえる理由
「結果にコミットする」の英訳として「I commit to the results.」という表現を見かけますが、英語ネイティブにとってはやや直訳的で不自然に聞こえます。
なぜなら、英語では「結果を出す」という概念を「results」単体で表すより、「結果を達成する」「成果を提供する」と動詞を添えて表現するのが自然だからです。
そのため、次のように動詞を加えると、文意が明確で伝わりやすくなります。
例文:
I commit to achieving results.
(私は結果を達成するために全力を尽くします。)
I’m committed to delivering results.
(私は成果を出すことに専念しています。)
ここで使われる「achieve(達成する)」や「deliver(提供する・実現する)」は、実際に行動して成果を出すという英語的な発想に基づく表現です。
単に「責任を取る」よりも、「努力を重ねて成功を実現する」という前向きな姿勢を強調することができます。
ビジネス英語での「commit」の自然な使い方
「commit」はビジネス英語でよく使われる言葉です。
ここでは代表的な使い方を紹介します。
「commit to ~」で「~に専念する・努力を惜しまない」
ビジネス文書やプレゼンテーション、社内会議などで最もよく使われる形です。
直訳すると「~に対して自分をゆだねる」ですが、実際には「~の実現に向けて全力で取り組む」「~のために努力を惜しまない」といった意味になります。
この表現は、単なる「やります」という宣言ではなく、「具体的な行動・責任・期限をともなう約束」を含んでいます。
例文:
We commit to providing high-quality products and services.
(私たちは高品質な製品とサービスの提供に全力を尽くします。)
The management team commits to improving employee engagement.
(経営陣は従業員のエンゲージメント向上に取り組むことを約束します。)
「be committed to ~」で「~に取り組んでいる・専心している」
「現在進行形の努力」や「継続的な専念」を表す言い方です。
個人・組織のどちらにも使え、特に企業理念や方針を示す文章によく登場します。
例文:
She is deeply committed to improving her English proficiency.
(彼女は英語力の向上に深く取り組んでいます。)
We are committed to ensuring customer satisfaction.
(私たちは顧客満足の確保に全力を尽くしています。)
「be committed to」の後には動名詞(~ing)が続きます。
「to」は前置詞なので、その後に名詞または動名詞が来る点に注意しましょう。
ちなみに「commit oneself to ~」の受け身形が「be committed to ~」です。
まとめ:「commit」は「言葉ではなく、行動で示す約束」
「commit」は、英語の中でも特に「責任」や「誠実さ」「継続的な努力」を表す大切な動詞です。
単なる「約束する」ではなく、「約束を実際の行動で実現する」という意味を含みます。
日本語の「コミットする」はしばしば「結果に対する責任」を指しますが、英語の 「commit」はむしろ「過程での努力」や「目標に向かう継続的な姿勢」に焦点を当てています。
ビジネスの場でも日常会話でも、「commit」を使うことで、「誠実に取り組む」「責任を果たす」「信頼を築く」といった前向きな印象を与えることができます。
自分の意志や責任をしっかり伝えたいとき、「commit」はまさに英語らしい「行動で示す約束の言葉」。
その一言が、あなたの信頼と誠実さをより強く伝えてくれるはずです。















