英語学習に役立つ「コーパス」とは?3つのメリットでネイティブに近づく!
日本にいながら、ネイティブが実際に使っている生きた英語を学べたらいいのに…と思ったことはありませんか?
文法的に正しい文章であっても、ネイティブからすると自然な英語ではなかったり、使用頻度がほとんどなかったりすることはよくあります。
多くの英語学習者が苦戦するネイティブの感覚は、どう身につけたらいいでしょうか?
そこで役立つツールが、「コーパス」です。
この記事では、「コーパスを使った英語学習」をテーマに、次のポイントを詳しく解説します。
- コーパスとは?辞書との違い
- コーパスを活用しないと損!メリット3つ
- コーパスの注意点2つ
- 英語学習者必見!無料で使えるコーパスのサイト3選
「コーパスを初めて知った」という方から「知っているけど使ったことはない」という方まで、この記事を読んでコーパスを使い始めてみませんか?
コーパスの基本的な使い方を学んで、英語学習の中に取り入れてみましょう。
「コーパス」とは?辞書との違い
言語学における「コーパス(corpus)」とは、実際に使われた発話の内容やテキストを集めてデータベース化した言語資料のことです。
言語資料には、本、新聞記事、ウェブサイトといった書き言葉だけでなく、映画やテレビで使われた話し言葉も含まれます。
「コーパス」と混同しやすい言葉に「辞書」があります。
どちらも言語学習に役立つツールですが、両者は似て非なるものです。
「辞書」が言葉の意味や使い方などをまとめた資料であるのに対し、「コーパス」は実際の使用例をまとめた資料です。
この両者の違いは、次項で説明するコーパスのメリットにつながりますので、機能の違いを押さえておきましょう。
コーパスを活用しないと損!メリット3つ
ここでは、コーパスを英語学習に取り入れるとどんなメリットがあるのか見ていきましょう。
メリット1:使い方がわかる
コーパスは、前述のとおり辞書と違って、実際の使用例を集めたデータです。
そのため、単語やフレーズがどのように使われているのか学ぶことができます。
例えば、英単語帳にどうしても覚えられない単語があったとしましょう。
そんな時にコーパスを使えば、単語帳や辞書に載っている例文の何倍もの用例を閲覧することができます。
またコーパスは、コロケーションを学ぶのに適しています。
コロケーションとは、言葉と言葉の相性のことです。
日本語を例に挙げると、状態変化を表す副詞「めっきり」の後には、「寒くなってきた」「老けこんだ」といったネガティブな言葉が続きやすいことを日本語ネイティブであれば感覚でわかります。
そういった言葉同士の相性や、ポジティブまたはネガティブな含みを持つ単語を実例から理解することができるでしょう。
メリット2:使用頻度がわかる
コーパスのサイトによっては、検索する単語やフレーズの使用頻度を知ることができます。
例えば、「警察官」のことを英語ではかつて「policeman」と呼ばれていましたが、現在では「police officer」と呼ぶことが一般的になっています。
コーパスでも確認してみると、「policeman」の使用頻度が年々減ってきているのに反比例して、「police officer」の使用頻度が増えてきているのがわかります。
言葉というものは生きています。時代の流れとともに変化する言葉の使用頻度を確認するのには、コーパスが非常に便利です。
メリット3:使われる媒体がわかる
コーパスのデータの元となる媒体は、新聞、テレビ、小説、ブログなどさまざまです。
新聞や学術論文などの書き言葉だけのデータベースであれば文体が偏ってしまいますが、コーパスは映画やテレビなどの話し言葉のデータも含まれています。
検索する単語やフレーズが、書き言葉と話し言葉のどちらで使われ、どの媒体で使用されているのかを知ることで、シチュエーションに応じた英語表現を学ぶことができるでしょう。
コーパスを活用するうえでの注意点
ここまでコーパスのメリットを解説しましたが、利用するうえでの注意点についてもお伝えします。
注意点1:必ずしも正しいとは限らない
1つ目は、実際に使用されているからといって必ずしも正しいとは限らないということです。
例えば、「1ヶ月記念日」のことを英語では「1 month anniversary」と言いますが、厳密には正しくありません。
なぜなら「anniversary」は「1年ごとの記念日」を指す言葉だからです。
しかし、この「month anniversary」をコーパスで検索してみると、テレビやドラマ、映画など多くのメディアで使用されていることがわかります。
このように広く使われている表現であっても、必ずしも正しいとは限りません。
そのため、辞書と併用して活用することをおすすめします。
注意点2:ある程度の英語力が必要
2つ目は、コーパスを閲覧したり正しい情報を読み取ったりできる程度の英語力を必要とすることです。
文法知識や語彙の知識が不足していると、コーパスの情報を誤って受け取ってしまう恐れがあります。
コーパスは英語学習に役立つツールですが、この後ご紹介するサイトも全て英語のサイトなので、ある程度の英語力が必要です。
英語学習者必見!無料でコーパスを閲覧できるサイト3選
コーパスを使ううえでのメリットと注意点を解説したところで、ここからは無料でコーパスを閲覧できるサイトをご紹介します。
The Corpus of Contemporary American English (COCA)
The Corpus of Contemporary American English (COCA)は、アメリカの言語学者によって作成された現代アメリカ英語のコーパスです。
テレビや映画の話し言葉から、新聞や小説、学術論文といった書き言葉に至るまで、現時点で1990年から2019年までの約10億語以上のデータが含まれています。
COCAを使用するには、名前・メールアドレス・パスワードを入力して会員登録をする必要があります。
また無料会員の場合は、1日の検索数に制限があるので注意しましょう。
サイト:https://www.english-corpora.org//coca/
基本的な使い方
ここでは基本的な使い方について解説します。
会員登録を終えたら、検索ボックスに単語やフレーズを入れて、「Find matching strings」ボタンを押してみましょう。
すると、「使用された年代」「ジャンル」「メディアの名称」「用例」が一覧で表示されます。
使用頻度を調べたい場合は、タブを「List」から「Chart」に変えて、「See frequency by section」ボタンを押すと、「ジャンル別」「年代別」の使用頻度を確認することができます。
British National Corpus (BNC)
COCAは現代アメリカ英語でしたが、British National Corpus (BNC)は現代イギリス英語のコーパスです。
BNCは、1980年代から90年代初頭に集められた約1億語のデータが含まれています。
COCAで登録したアカウントを使ってBNCを閲覧することができ、サイトのつくりもCOCAと同じなので、使い方は割愛します。
アメリカ英語とイギリス英語では、使用する単語やスペル、文法などが異なるので、どちらの英語を使うかによってコーパスも使い分けましょう。
サイト:https://www.english-corpora.org//bnc/
ロングマン現代英英辞典(LDOCE)
ロングマン現代英英辞典は、英語を母語としない英語学習者向けの英英辞典です。
そういった意図で作られているこの辞典は、簡潔で理解しやすい解説がなされているため、「英英辞典はハードルが高い」と感じている方にもおすすめです。
一般的な辞典と同じく、言葉の意味を検索できますが、語義説明の下にコーパスの用例が載っています。
また、この辞典ならではの使い方があるので次項でご紹介します。
サイト:https://www.ldoceonline.com/jp/
話し言葉/書き言葉と頻度の見方
例として、「王室」を意味する「royal」をこの辞典で調べてみましょう。
すると「royal」の右に「S3」「W1」というマークが表示されます。
このマークでわかることは、話し言葉か書き言葉かどうかと、使用頻度です。
「S」は「話し言葉(Spoken English)」、「W」は「書き言葉(Written English)」を表しています。
その後の数字は、3段階での頻度を表しています。
ロングマン現代英英辞典では、書き言葉・話し言葉それぞれの使用頻度が高い3000語に対して、このマークを付けています。
「royal」の場合、「S3」は話し言葉の上位2001語から3000語以内、「W1」は書き言葉の上位1000語以内だということを表しています。
このことから、「royal」は話し言葉と書き言葉の両方で使われ、より書き言葉で多用される単語であることがわかります。
ロングマン現代英英辞典には、用例がどの媒体で使われているかの記載はありませんが、使用頻度や使い方、コロケーションなどが詳しく載っているのでおすすめです。
まとめ
英語学習にコーパスを取り入れることで、辞書だけでは知り得なかった具体的な使い方や使用頻度を知ることができます。
なかなか覚えられない英単語やフレーズの用例を閲覧したり、言葉同士の相性について理解を深めたりして、実際の生きた英語に触れることができるでしょう。
この記事で紹介したメリットと注意点を把握したうえでコーパスを活用し、ネイティブのような自然な英語表現を身につけましょう。