【英語の大過去とは?】過去完了形のつまずきポイントを徹底解説します!
英語を学習していると、時制のトピックで必ず出会う「過去完了形(past perfect tense)」。
そのなかで「大過去(had+過去分詞)」という用語が登場しますが、多くの学習者を悩ませている文法事項の一つです。
「なぜ過去形だけではダメなの?」「過去完了形との違いが分からない…」といったお悩みをよく聞きます。
そこで本記事では、英文法の時制に焦点を当て、なかでも過去完了形(大過去)の基本的な考え方から実践的な使い方まで幅広くご紹介していきます。
読み終わるころには時系列を明確に理解することができ、より自信を持って過去完了形(大過去)を使いこなせていることでしょう!
過去完了形の基本を理解しよう
1. 現在完了形(have/has+過去分詞)とは
過去完了形(大過去)を使いこなすためには、まず現在完了形がどういうものであるのか理解しておかなければなりません。
現在完了形は「have/has+過去分詞」で表します。
そして下記の図のように「過去の出来事が現在と結びついている」ことを示す表現技法です。
過去から現在にかけてある一定の時間の幅を持ち、「動作/行為の完了・結果」と「経験」、そして「状態の継続」の3つの用法があります。
例文:
The bus has already left.【完了・結果】
(バスはもう出てしまいました。)
→バスが出発してしまったという動作が完了している。
I have watched this movie three times.【経験】
(私はこの映画を3回観たことがあります。)
→映画を3度観たという経験がある。
He has lived in Tokyo for two years.【継続】
(彼は東京に2年間住んでいます。)
→2年間、東京に住んでいるという状態を継続している。
いずれの例文も、過去から現在にかけての出来事を表していることを理解しておきましょう。
2. 過去完了形(had+過去分詞)とは
現在完了形が「have/has+過去分詞」の形に対して、過去完了形(大過去)は「had+過去分詞」の形を作ります。
「have/has」を過去形の「had」に変えただけなので分かりやすいですね!
そして過去完了形は「ある一点の過去よりも前(過去よりもさらに過去)から、ある一点の過去までの出来事」を表します。
イメージとしては、現在完了形の「過去→現在」をそのまま「さらに過去→過去」へとスライドさせた感じです。
つまり、過去完了形を使うためには、基本的に「when I arrived(私が到着したとき)」や「before she entered school(彼女が入学する前)」など、過去形と一緒に使われます。
過去完了形が登場するときは、一緒に過去形が登場しやすいということを覚えておきましょう!
過去完了形(大過去)の用法は現在完了形と同じで3つあります。
それぞれ例文を載せたので確認してください。
3. 完了・結果
例文:
My girlfriend had left by the time I arrived at the station.
(私が駅に到着した時までに、彼女は出発していました。)
I hadn’t finished my homework yet when my brother came home.
(兄が帰宅したとき、私はまだ宿題が終わっていませんでした。)
4. 経験
例文:
I had read that book three times before I lent it to you.
(あなたにその本を貸した以前に、私はその本を3回読んだことがありました。)
I had not been to Fukuoka before our baby was born.
(私たちの赤ちゃんが生まれたときよりも前に、私は福岡に行ったことがありませんでした。)
5. 継続
例文:
I had been living here for five years before the Olympics were held in Tokyo.
(東京でオリンピックが開催される前、ここに5年間住んでいました。)
I had been waiting for two hours when he finally arrived.
(最終的に彼が着いたとき、私は2時間待っていました。)
大過去(had+過去分詞)とは
1. 大過去と過去完了形の違い
「大過去」は「過去完了形」と同一視されることが多いですが、実は異なります。
厳密には「大過去」は「過去完了形」における用法の1つなのです。
「過去完了形」は「過去のある時点と、さらに前の過去を結びつける表現」だと述べました。
「さらに過去→過去」は繋がっており「線」のようなイメージがあります。
しかしながら「大過去」とは、過去に起こった2つの出来事の前後関係を明確にするための表現方法です。
つまりどちらの出来事が先に起こったのかを表すだけで両者に繋がりはなく、「点」のようなイメージがあります。
- 大過去→点のイメージ
- 過去完了形→線のイメージ
例文:
I lost my wallet. My father had bought it before for me.
(私は財布をなくしました。それは父が以前買ってくれたものです。)
I heard that Alex had passed the interview test.
(私はアレックスが面接のテストに合格したと聞きました。)
I found that I had left my smartphone at home.
(私は家にスマートフォンを置き忘れていることに気付きました。)
※それぞれ過去に起こったことの前後関係が明らかになっています。
2. 大過去の見分け方
繰り返しになりますが、過去完了と大過去の違いは「線であるか、点であるか」です。
そのため過去完了形は過去に起こったことと、過去よりも前に起こったことに繋がりがありますが、大過去に繋がりはありません。
大過去は過去に起こった2つのことの前後関係を分かりやすく表しているだけなのです。
しかしながら、そこまで厳密に違いを考える必要はありません。
なぜなら考え方によっては大過去に捉えることができたり、過去完了形と捉えたりすることもできるからです。
I gave him a book which I had read.
(私は読んだことがある本を彼に渡しました。)
例えば上の英文について、単に「読んだ」と「渡した」の前後関係を分かりやすくするための大過去と考えることもできますが、「読んでしまっていた」と捉えて過去完了形と考えることもできます。
3. 大過去を使わなくていいとき
大過去は出来事の前後関係をハッキリするために使われますが、使わなくても良いケースがあります。
それは接続詞の「after(~の後に)」や「before(~する前に)」が使われているときです。
これらは接続詞そのものが話の前後を明確にしてくれるため、わざわざ大過去を使わなくても大丈夫なのです!
例文:
We arrived at the theater after the movie started.
(私たちは映画が始まったあとに映画館に着きました。)
The airplane left before we got out of the taxi.
(私たちがタクシーから降りる前に、飛行機は出発しました。)
関連文法としての仮定法
ありえないことを言ったり、どうしようもない話をしたりするときに使われる「仮定法」ですが、過去の話を仮定する場合に過去完了形(大過去)が登場します。
「仮定法」で使われる「had+過去分詞」は、過去のよりも前のことを指しているのではなく、単に過去のことについて言及しているだけなので、その特徴を覚えておきましょう。
If I had had a smartphone, I would have called him.
(もしスマートフォンを持っていたなら、彼に電話したのに。)
おわりに
本記事では、英語の過去完了形(大過去)について詳しく解説しました。
「had + 過去分詞」の基本的な使い方をはじめ、過去完了形と大過去の違いや仮定法についても述べました。
「had+過去分詞」を正しく使うことで、出来事の順序や因果関係を明確にし、より正確で自然な英語を話すことができます。
最初は使い分けが難しく感じるかもしれませんが、時系列を意識しながら練習を重ねることで、自然と慣れていくことができるでしょう!