「ピンチはチャンス」

AYAKO(無職)

AYAKO

20年間勤めた会社が突然なくなった。それは業務終了一時間前の事だった。
破産を告げられ、その後の手続きに話は及んだが 呆然とし頭の中が真っ白だった。 人生の半分以上をここで過ごし、仕事はもちろん、社会人として大切なことも多く学んだ。苦楽を共にした同僚との別れも辛く20年間を振り返ると涙が止まらなかった。
明日から無職、39歳シングルには重い現実だった。

失業して一週間、二週間、時がたっても頭と心は空っぽだった。この経験も何か意味があると自分に言い聞かせるもの、気が付くと遠くを見つめいつもぼんやりとしていた。先の事など怖くて考えられなかった。

学生時代から何かに没頭することが好きな私はその都度ささやかではあるが常に夢を抱いていた。その一つが旅だ。旅は心の支えで、人生に多くのことを教えてくれる大切な存在だ。旅のことを想像するだけで365日どんな現実をも上手に受け止める事ができた。
好きな国はアジア!現地の簡単な挨拶と、ジェスチャー、そして笑顔があればそこそこコミュニケーションは取れる。
私は旅に欠かせない英語がさっぱりだった。もちろん英会話教室には通った。しかし基礎がない私は少しの成果もでず、転々とした結果結局は諦めた。

そんな中ある一人の“ご老人“との出会いが私の人生を変えた。
それはセブ島に行った時の事だった。搭乗する予定の飛行機が欠航になり長時間待たされることになった。たまたま居合わせたご老人との会話の中でオンライン英会話の存在を知った。
英会話は教室で習うものと思っていたから衝撃的だった。それに当時はSkypeの存在さえ知らなかった。

帰国して早速オンライン英会話を始めた。レッスンはマンツーマン、周りに気兼ねすることなく、また恥じらいもなかった。そして何よりも楽しかった。ご老人との出会いに感謝しレッスンに励んだ。レッスンを始めて半年後、深夜の放送番組で短期留学の特集を目にした。一般のOLさんが目を丸くして留学での経験を熱く語っていた。その情熱に呑まれ三日後に一週間の短期留学を申し込んでいた。

留学は楽しかったが、一週間で上達するほど語学の習得は甘くはなかった。あまりの不甲斐なさに悔しくてたまらなかった

ちょうどその時、インターンシップ募集中という貼り紙を目にした。その瞬間、英語を上達させるには絶好のチャンス、そして何よりも憧れの海外生活!
すぐにでも申し込もうという気持ちに駆られたが、安定した仕事を捨ててまで飛び込む勇気はなかった。
旅を知り海外での仕事や生活に憧れるようになったが、年を重ねるうちに諦めることを知って次第に期待しないようになっていた。

話は戻るが、失業して少し落ち着いた頃、誰かに胸の内を聞いて欲しいと思った。それは親しい友人でも家族でもなく“ご老人”と短期留学中に知り合ったバッチメイトだった。
なぜその二人かは自分でも意外だったが、彼らと話していると辛い現実をすっかり忘れていた。何より同じ目標を志し、英会話について競うように熱く語ることが、たまらなく楽しかった。単純だが急に人生が変わった気がした。
それをきっかけに完全に立ち直れた。二人に出会えたことに心から感謝した。

そして、失業前から計画していた旅に出た。前回よりも少しだけほんの少しだけだが英語でコミュニケーションを取ることができた。多くを勉強しても実践で生かせるのはごく一部。でもそのお陰で実に充実した内容だった。

旅を終えいよいよ就活・・・
しかし、なかなか踏み出せない。そう“海外で働きたい”という思いが頭から消えない。
単なる憧れかもしれないが、後悔する前に挑戦してみようではないか。
人生には楽しいことも苦しいこともどちらも大事なことだと改めて気付いた。人との出会いとタイミング、こればかりは自分で選択はできないが、どう生かすかは自分次第だと思う。未知の世界に一歩を踏み出すのは勇気が必要だ。夢があるからこそ情熱が湧く。
そして情熱がある限り若さは失われない。
私が世界を目指すわけ、それはきっとそう信じたいからなのだろう。

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