「34歳サラリーマン、ニューヨークの映画学校へ行く」

ヤマテツ(会社員)

ヤマテツ

 ニューヨークへ行き、映画学校で映像を学ぶ。これが僕の夢です。34歳独身、年齢的にも最後のチャンスだと思っています。そのためにこの奨学金をどうしても得たいと思い、こちらに応募しました。

 大学を卒業してこれまで印刷工場、そしてIT系のエンジニアの仕事をしてきました。とても平凡なサラリーマン生活でした。周りも年齢的に結婚した人も多く、子供がいる幸せが羨ましく感じることもあります。ですが僕は出会ってしまったのです。

 それは4年ほど前の友人の結婚式に向けての余興の打ち合わせ中でした。友人夫婦が好きなものは「トイストーリー」という映画で、その世界観に沿った余興をやって欲しいとのことでした。世間で話題になっていることは知っていましたが、そのときその映画をまだ観たことがありませんでした。ちょうど映画館でシリーズ3作目が上映されているということで、一緒に観に行くことになりました。そこで僕の人生は変わってしまったのです。

 スクリーンに映し出されたものは、すべて人工的にコンピューターで作られた、ある意味偽物の世界でした。CGという技術で作ったキャラクターを動かし、同じくCGで作ったシーンで演技させる。それにも関わらず、僕はその世界が作り出す物語に感動して号泣してしまったのです。人工的に作ったものでも人の心を動かすことができる。その事実に驚き、次の日にはCGを教える学校に入学の申し込みに行きました。

 半年間かけて週末にCGの授業をする社会人向けの学校でしたが、平日も会社帰りに自習室へ行き、朝まで作品を作り、始発で帰って仮眠して会社に通いました。ただ、CGはソフトの使い方を覚えることが大変で、作品のストーリーにまでこだわる暇はありませんでした。

 そんな時に東日本大震災が発生しました。僕の地元は茨城県北茨城市という福島との県境にあり、しばらくは両親と連絡が取れず安否も分からない状態でした。数日後、ようやく連絡がつき、幸いにも二人とも無事であることが分かりました。そしてその出来事で、僕に心境の変化が訪れました。「人間、死ぬ時期は選べない。それなら行きている間、たくさん笑って過ごした方がいい。」

 それから作ったCG学校の卒業制作はコメディー作品にしました。すごく評判が良かったわけではありませんが、卒業後もずっと働きながら新しいコメディー作品を作り続けています。ただ、僕が持っている技術はCGを作ることだけです。主人公の気持ちに同情させることや、ストーリーを分かりやすく伝える映像作りの技術はありません。だからこそ映画学校で一から映像を学び直し、少しでも世界に笑いを届けられたらと考えています。そして、一人でも多くの人を笑顔にするためにはやはり英語が必要です。世界に向けて英語でコメディー映像を届けることで、作品を見てもらうチャンスも大きく増えるからです。そのために僕は、本場ニューヨークの映画学校に行こうと決意いたしました。

 34歳にもなると、周りの友人達は色々と昔やりたかったことを諦め始めます。そして新しいことにチャレンジすることをやめてしまいます。だからこそ、平凡なサラリーマンだった僕が夢を追いかけることで、せめて周りの友人だけでも、ほんの少し勇気付けられたらと思います。よろしくお願いします。

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