「志を達成するために」

海尾 守(研究員)

海尾 守

自分の志「日本の防衛政策に関わりたい、自分の国を自分で守れる国にしたい」

 これは私がずっと抱いている志である。学部時代は総合政策学部という学部で政策学を学び、現場のわかる政策決定者になりたいと思っていた。そのため最初のキャリアでは海上自衛隊の幹部(士官)として、5年ほど働き、今は某大学院の研究員(リサーチアシスタント)と所属しながら、安全保障学の修士号取得を目指している。
 まず、英語と今までのキャリアについて話したい。学生時代から英語が得意な人がうらやましかった。私は中学からずっと英語が苦手でコンプレックスとなっていた。特に大学時代の学部には帰国子女が多く、その学部は英語をうりにしていた。そして、2年次までにTOEIC650点かTOEFL500点を取得できなければ留年というシステムがあった。残念ながら、自分の努力不足もあり留年してしまったが、大学は卒業することができた。
 私は大学の講義や政治学・軍事学の本を読み、「なぜ日本は経済大国なのに軍事について学ぼうとしないのか」という問題意識を持つようになった。国家の国力は経済力・軍事力・人口という三要素であるのだが、日本は経済力だけでは限界があるのではないかと思ったからだ。このこともあり、軍事に強い関心を抱くようになった。そして、軍事の現場を知らないで物事を語る人材になりたくないという理由で最初のキャリアとして防衛省海上自衛隊を選んだ。
 一年半に渡る教育・実習を経て、護衛艦部隊に配属された。1 年目にはカナダ海軍・インドネシア海軍との交流があり、英語で話す機会があった。また、2年目には、インド洋への海外派遣があり、自分の英語力のなさを痛感することになった。うすうすは感じていたが、いつかは英語の苦手意識を克服し、英語力を向上させないと自分の将来にとって障害になると強く思うようになった。言い訳になるが、護衛艦での勤務は男ばかりの集団生活でベットの下を見ると上司が寝ているような環境だった。そのため、中々英語を勉強する時間は取れなかった。
 海自では護衛艦で勤務する中で現場の実情を知ることができたが、政策に関わっている人たち・国民とのかい離を感じるようになった。日本は資源のない島国で海外に資源を輸入し、工業製品を輸出することで成り立っている海洋国家という点がある。日本が経済的に食べていくには資源の輸送ルートであるシーレーン(海上輸送路)の維持が重要になるのだが、政治・マスメディア・国民にそのような視点を理解していただく難しさを感じた。
幸か不幸か、日本は長らく平和が続いていたことから、軍事の視点を考慮して政策を練り、手段である軍事力を活用するということは難しいのかしれない。そして、自分の中ではずっと海自にいて何ができるのか、軍事を学問として学び、政策の手段として活用できる人材になりたいという想いが強くなっていた。

次に私の現在と将来のキャリアについて話したい。現在は海自を退職し、紆余曲折を経て、日本で唯一、軍事を学べる大学院に入り講義を受け論文を書く日々をおくっている。そこでは、英語の文献も課題として課されたりして、やはり現在も英語には苦労が絶えない。この大学院に所属する中で、日本でも軍事は学べるが、机上の範囲になってしまい、軍事を政策の手段として活用している国に出ないとだめだなと感じるようになった。また、国際政治の視点、海外から見た日本を知る必要性を感じるようになった。自分の中で国際政治の中心である米国ワシントンDCにある、国際関係・軍事を学べる大学院へ留学をしたいと感じるようになった。ただ、その壁として英語(TOEFL)が高くそびえている。
 正直いうと、志は変わっていないが、具体的な手段である、職業として何がよいのかまだわかっていない。研究者がよいのか、実務に関われる立場がよいのか・・・。ただ一つ言えるのは海外に出て、学問と政策を学び、それらをリンクさせる方策を得たい。そのためには、壁である英語を克服し、米国への大学院留学を達成しなければいけない。もう、30を超えてしまったが、これを機会に英語へのコンプレックスを解消し、人間として成長したい。
 今、日本の取り巻く国際情勢は混迷を深めていて、軍事という手段を活用し、日本の国益を守っていくため、どうすればよいのかという点が課題になっていると思う。このような事柄はどうしてもイデオロギーや感情論も混ざりやすい。だいぶ改善はされたが、自衛隊・軍事というと、どうしても偏見をもってしまう方も多いかもしれない。私自身、日本は平和国家として、平和を守るために軍事・外交を駆使していくような国にしたいと思っている。恥ずかしながら、海自にいたときの貯蓄が底をついてしまった。もし、私の志に共感を抱いた方がいましたら、チャンスを頂きたいと思います。

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