「親子二代で英語の旅」

びりちゃんのママ(翻訳家)

びりちゃんのママ

「オンライン英会話スクールを作りたい」と思っていた矢先のことだった。朝日新聞を読み「あれ?これ、あなたの英会話の会社じゃないの?」と息子と話していた。「ママ、がんばれ!」の言葉に「らいこう奨学金」に応募させていただくことになった。

うちは親子二代で英語のお世話になっている。英語への思いの始まりは私が10歳の頃、「耳で聞いた英語を日本語にするという手品みたいな職業」があることを初めて知った時。それが次第に「外国で英語を勉強して通訳になりたい」という思いとなり、思い切って両親に相談すると「うちにはお金がないから駄目」の一言で私の夢はあっけなく葬られてしまった。周囲には英会話学校もなく、しかも1ドル360円の固定相場制の時代だった。

しかし、その夢は消えずに自分の中でずっとくすぶり続けていた。大学卒業後、就職した会社でOLとして日々悶々として過ごしていたある日、自分の中に閉じ込められていた夢が「英語を勉強して仕事で使えるようになりたい」、「海外出張もしてみたい」という新たな夢となって再びムクムクと頭をもたげた。それからというもの、毎日数時間の睡眠で、土日と会社が引けてから夜10時まであらゆるアルバイトをかけ持ち貯金をし、24歳の1月、とうとう100万円を手にロンドンのヒーストー空港に降り立った時は感無量だった。今振り返っても随分無茶な生活をしたと思うが、夢があったので全然大変だとは思わなかった。その後、イギリスで語学学校に通いながら現地のカーディーラーで仕事をし、生活費と足りない授業料を捻出しながら4年間過ごした。

帰国してから、外資系の企業に勤め出し、憧れていた通訳の仕事を初めて経験し、小さい頃からの夢が実現した。その後勤めたイギリス系の国際特許情報関係の会社では、カスタマーサービスのマネージャーの仕事に就き、第二の夢だった海外出張も経験した。この時、人間は夢を実現させるものすごいエネルギーを持っているのだということを改めて感じた。

その後、結婚、出産を機にフルタイムの仕事を辞め、オランダの特許情報関連の企業と契約を結び、SOHOで特許の市場調査や新規開拓のための営業の仕事をし、生後7カ月の息子を連れ、オランダ、韓国、N.Y.への出張もこなした。大変だったが、もうこの時はもう、人間やろうと思えば何でもできると確信していた。

私が苦労して得た語学力は自分の一部となり、生きていくための武器となった。また、異文化に触れ、英語学習を通して日本がよりはっきりと見えてきた。在宅で翻訳業を営んでいる現在、英語を商品化するには、英語の能力ではなく、もっと日本語の能力を磨かなければ駄目だということにも気が付いた。自分の人生に活力、彩、発見を与えてくれた英語に対して改めて感謝している。

現在、息子は私が「英語を勉強したい」と初めて思った時と同じ年齢の10歳になった。あの時の私と息子の大きな違いは、息子はスカイプを通して英語の勉強が好きな時にできることだ。もう社会人になってお金が貯まるまで待つ必要はない。息子は2年前よりQQEnglishのオンラインレッスンで楽しみながら英語を勉強しており、先日、英検2級にも合格した。既に私がイギリスで初めて学んだ単語も沢山知っている。

こうして息子を見ていると、何と便利な時代になったものだと思う。欲しいものは一瞬のうちに手に入れることができるし、待つ必要もない。英語は好きな時に勉強できるようになった。反面、「欲しいものは何もない。全部もっているから」という近所の子どもたちの言葉に、私が14年間夢を温め続け、ヒースロー空港に降り立った時の情熱や感動が今の子どもたちや若い人たちは持っているのかと危機感を覚える。不自由な時代に育った大人たちがよかれと便利な社会を作り、出来上がったものをせっせと子どもたちに与え続け、それが却って子どもたちの夢を却って奪っているのではないか。しかし、「ドラえもんなら欲しい」、「タイムマシーンに乗ってみたい」という子どもたちの屈託のない言葉にまだ夢を育む余地はあるとほっと胸をなで下ろした。

自分は今、カウンセリングやサポートを充実させたオンラインの英会話学校を作りたいと思っている。子どもたちや若い人たちが海外に目を向けながら今置かれている自分を客観的に見つめ、本来人間に備わっている大きなエネルギーを、自分たちの夢に託して世界に向けて実現する手助けをしたいと思っている。英語学習は終わりのない長い旅。私は今また、新たな夢を温めながら次の停泊地に向け、新しい英語の旅に出ようとしている。

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