「「環境問題の改善」=「日中関係の改善」」

高井恵(大学生)

高井恵

 あなたは泥水を飲んだことがありますか。生きるために泥水を飲まなきゃいけない日が来ると誰もが思っていないでしょう。  私は中国生まれの日本人です。中国に11年、日本に11年住んでいます。小学校のときに母と一緒に日本に来て、日本人、日本文化に触れ、日本を大好きになり、国籍も日本にしました。
 私が高校生だったときに読んだ新聞記事では、中国の高度経済成長によって、地方の村の環境汚染が深刻化し、ある村では泥水を薬缶で沸かし、きれいになった上部だけを飲んでいる村人がいたそうです。また、その泥水も水質汚濁で悪臭がするため、鼻をつまんで飲んでいたのです。そんな住みにくいところからたくさんの村人は出て行き、残されたのは村に執着を持つ老人ばかりで、そのうちの半分以上も原因不明な病気にかかっていました。そんな村人たちのことを、私の中国にいる家族や友達と重なって見え、彼らのために何かしなければという気持ちで胸いっぱいになりました。
 昨年の9月、私は自分でお金を貯めて日本を飛び出て、北京に一年間留学してきました。そこはもう私が子供のときの記憶に残っている中国の姿はありませんでした。高層ビルがあっちこっちに建てられ、道路はきれいに整備され、でも白い煙のようなものに包まれていました。それがPM2.5による大気汚染でした。私もそのせいで一年のうち二ヶ月ほど咳が止まらなかったことがありました。
 そんな環境汚染の打開策はないのかと考え、アメリカ人の友達と環境団体も立ち上げ、短かい留学期間を利用し、人々の環境に対する意識を高める活動にも取り組みました。しかし、環境問題がたくさんうたわれている中で、すでに私たちは環境問題に対し鈍感になってしまっています。人々は知っているとばかり考え、誰かがやってくれると頼ります。もちろん、環境問題に熱心な私でも環境の広告を見ると、振り向きもせず前に歩き進んでしまうのかもしれません。しかし、忘れてはいけないのは、中国は日本の隣国で、中国の環境問題が悪くなれば日本も影響を受けるということです。
 では日中関係はどうなのか。アベノミックス、集団自衛権、領土問題など、日中韓の関係が過去最悪の状態の中、中国にいる日本人の中で、少なからず影響を受けた人はいるはずです。
 しかし、日中間の経済状況を見ますと、多くの日本企業は中国と切りに切れない関係を持っています。今では、中国での空気清浄機や車はシェア率が一番多く、日本企業の経済も中国人消費者に支えられている現状です。
 私も中国で団体として環境問題に取り組む限界を知ったので、経済発展に趣を置いている中国でだからこそ、起業して経済問題を改善する策はあるはずと考えました。それは、中国に日本のすばらしい技術を買ってもらうことにあるということです。私は日本で長年住んで、日本のすばらしいところを知っていて、中国の環境問題に将来携わりたいと思う私こそできることだと考えています。そうして日本の技術によって中国の環境問題を改善していけば、日中関係もきっとよくなると私は信じています。
 最近ではある英語のフレーズがよく言われています。’Think globally, act locally’今、私は大学三年生ですが、卒業してからはアメリカの大学院へ進学し、そのあと国連に就職し、UNEPで環境保全に携わわる予定です。環境問題をたくさん経験してきたアメリカだから、私がやろうとすることの先例もたくさんあります。だからこそ私がアメリカへ出発し、それを勉強してくる価値があると考えています。さらに国連は世界で一番大きい国際機関でありながら、環境問題の対策を世界中で繰り広げているから、私がそこで地球規模で物事を考えることができます。そして、国連で働いた後、中国へ行き、実際に日中間の架け橋となり、私の今まで積んできた経験を生かしたい!日本のすばらしい技術を中国に導入していきたいと考えています。中国の環境問題がよくなれば、日本も黄砂のような環境問題の影響を受けることも少なくなります。
 「環境問題の改善」=「日中関係の改善」。これが私が「世界を目指すわけ」です。

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